ヨガ「手」のつき方の疑問2選「これってもしや危険!?」理学療法士が解説

手の解剖学的特徴とケガ

「手」とは、肩から先の腕の部分全体をいう場合もありますが、一般的には手首から先の指先までの部分を指します。手のひら側と手の甲側があります。手は、片手で27個の骨がかみ合ってできています。

手首の付け根にある手根骨(しゅこんこつ):8個

手の甲にある中手骨(ちゅうしゅこつ):5個

指の骨である指骨(しこつ):14個

両手合わせて54個の骨があります。私達の身体全体には全部で約206個の骨があるので、手だけで人体の骨の4分の1を手だけで占めていることになります。

国内最大級のヨガイベント「ヨガフェスタ」で、2008年9月にヨガクラスの参加者約120名に取ったアンケートによると、ヨガで痛めた部位は、

1位:腰31人

2位:手首28人

2位:頚部28人

4位:肩17人

5位:膝13人

6位:ハムストリングス8人

7位:股関節6人

8位:足首・肋骨・肘 各5人

という結果になりました。腰は様々なスポーツに共通して怪我が多い部位ですが、手首が2位と上位にランクインしてしまうのはまさにヨガの特性といえます。ヨガ人口がこれだけ増えている今、問題視していかなければいけない点だと思っています。

 ヨガ「手」のつき方の疑問2選

疑問その1:

「中指を正面にして手のひらを床について、ダウンドッグや四つ這い体勢をとったら手首が痛い」

手のセンターは中指ではなく人差し指です。角度で言えば中指がセンターの時より5°くらい外に指先が向きます。なぜこれが良いかというと、手首を反らす動き(背屈)を誘導するのは人差し指だからです。試しに、テーブルに手のひらを置いて中指からor人差し指から背屈してどちらがやりやすいでしょうか?実際やってみると、人差し指がやりやすいですよね。また、ペンや包丁を持ってみると、中指でなく人差し指が動きの「鍵」となっているのがよく分かるはずです。

さらに、人差し指をセンターで手のひらを床につくと指先全体が少し外側を向きます(尺屈)。そうすると、脇が締まり肩が外旋し、土台になる肩周りが安定するので体重を支える上で大切となってきます。ただし、TFCC(軟骨複合体)損傷に注意が必要です。背屈と尺屈を伴ったストレスで手首の外側に痛みが出る危険性があります。

疑問その2:

「カップハンズを続けていて、DIP関節(爪に一番近い指の関節。第一関節)が反り始めた」

カップハンズ自体は手首の筋トレや握力の強化になるのでオススメです。また、手のアーチを維持する手のつき方なので推奨されますが、カップハンズの指の形に要注意です。爪が白くなるように指の腹に体重を乗せて、手全体がお椀型になるようにすることがポイントです。ピアノを弾く時の手に近いかもしれません。DIP関節が反るようなつき方はまずNGです。DIP関節は柔らかくよく反れる性質があるものの、参考可動域は伸展0度です。それ以上進展させた状態でさらにそこに体重を乗せてしまうと、指の変形や関節症など痛める恐れがあります。

まとめ

ヨガで手のひらを床やマットについた際の2つの疑問について今回お答えしました。手首に限らず、ヨガで「これで合っているのかな?」と思ったり違和感を感じたことは、痛みやケガにつながる前に、ヨガインストラクターや理学療法士、身体の専門家に気軽に相談してみてくださいね。

参考:

中村尚人「ヨガの解剖学 筋肉と骨格でわかる、アーサナのポイント&ウィークポイント」BABジャパン,2010

中村尚人「体感して学ぶ ヨガの運動学」BABジャパン,2019

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。滋賀県出身。モデルやレポーターとして活動中にヨガと出会い、2006年に単身渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在慈恵会医科大学附属病院ペインクリニックで勤務する。慶應義塾大学大学院医学部博士課程在学中。公認心理師と保育士の資格もあわせ持つ、二児の母。2023年に出版の著書『理学療法士がすすめる ウェルエク-Exercise for Wellness-ウェルネスのためのエクササイズ 究極これだけやれば!身体万全』好評発売中。https://amzn.asia/d/h3P5HRy

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