「肌の5月病」とは? 春に起こりがちな肌トラブルの原因と対策を解説

この時期の不調は5月病とも呼ばれますが、その原因となる気候の変化は、肌にも大きな負担になり、不調が起こりやすくなります。例えば、吹き出物(にきび)やしみ、赤みといった肌トラブルが気になることはないでしょうか。悪化を防ぐためには、早めの対策が肝心です。そこで、薬剤師の山形ゆかりさんに、5月ごろに肌の不調が起こりやすくなる原因と、対策のための食事や漢方薬について教えてもらいました。

【写真】春に起こりがちな肌トラブル解消に役立つ意外な食べ物を紹介!

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肌の5月病が起こる原因

肌の5月病は正式な医学用語ではありませんが、心身の5月病と同じように気候や環境の変化が負担となり、5月ごろに肌の不調が増えることから「肌の5月病」と呼ばれています。

肌の5月病の1つである吹き出物(にきび)や赤みなどの不調が起こる主な原因は、季節の変わり目の気候の変化です。たとえば、気温上昇による皮脂分泌量の増加や気候の急変で受けるストレスは、肌のターンオーバーを乱し、吹き出物をできやすくします。

また、春先に受けた花粉や乾燥などによるダメージ、紫外線量の増加なども、肌の5月病を引き起こす要因です。

肌の5月病の対策方法

肌の5月病を予防・改善するには、丁寧なスキンケアや紫外線対策、睡眠の質を高めるなど、肌の内外両方への対策をすることが大切です。

丁寧にスキンケアをする

この時期の肌は花粉や乾燥、紫外線などによってダメージを受けている状態のため、肌の5月病対策としては丁寧なスキンケアが重要です。とくに、乾燥や赤みなどの肌荒れがひどい場合は肌のバリア機能が低下しているため、刺激を与えないスキンケアを心がけましょう。

クレンジングや洗顔のときは、肌を強くこすらずに優しくなでるように洗うということに加えて、ビタミンCやレチノール入りのスキンケア製品、スクラブ配合の洗顔料は刺激が強いので避けることも、肌に刺激を与えないために心がけたいことです。

また、日中は、花粉や紫外線、ほこりなどの外的刺激から肌を守るのも大切です。「朝も保湿をしっかりして、肌のバリア機能を高める」「花粉症で目や鼻周りが荒れやすい場合、ワセリンを薄く塗り、乾燥や花粉の侵入を防ぐ」などの方法が効果的です。

日焼け止め対策を早めに行う

紫外線は肌のバリア機能を低下させるだけでなく、しみやしわなどの肌トラブルの原因になります。5月はすでに紫外線が強い時期に入っているため、日焼け止めクリームや日傘を取り入れることも重要です。

ただし、効果が強すぎる日焼け止めクリームは、肌への負担が大きいため、肌荒れが悪化することもあります。買い物や散歩などの近場の外出なら、SPF10〜20・PA+~++程度の日焼け止めクリームの使用や、日焼け止めは塗らずに紫外線カット効果があるメイク下地やファンデーションを使う程度が適しています。

また、曇りの日や窓ガラス越しでも紫外線は降りそそいでいるため、天気の悪い日や室内にいるときもしっかり対策をしましょう。

睡眠の質を高める

眠ってから2〜3時間後の深いノンレム睡眠に入ったときに、肌のターンオーバーに関係する成長ホルモンがもっとも分泌されるといわれています。

肌の5月病を改善するには、この時間に深い眠りに入れるように睡眠の質を高め、肌のターンオーバーを整えることが効果的です。

睡眠の質を高めるには、心身をリラックスさせることがポイントです。就寝前にマッサージや軽いストレッチをしたり、ラベンダーや自分好みのアロマオイル(植物から抽出された天然成分100%のもの)をディフューザーやスプレーで寝室に香らせたり、リラックスできる環境づくりを意識してみてください。

ほかにも、就寝の2~3時間前に入浴する、遮光性の高いアイマスクを身につける、寝る前にスマホを見ない、寝室の照明を電球色(オレンジ色)にする、起床したらまず日光を浴びることなどが、睡眠の質を高めるのに効果的です。

肌の5月病の改善に役立つ食材

肌の5月病対策には、エネルギー代謝に関わり、肌細胞の生産や回復を助ける働きをもつ「ビタミンB群」を多く含む食材を摂りましょう。

ビタミンB群は、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸の8種類の栄養素の総称です。そのなかでも、皮脂の分泌量を調整する作用があるビタミンB2、B6に、肌の5月病でよくみられる吹き出物を予防する効果が期待できます。

ビタミンB群は肉類やたまご、きのこ類、ブロッコリー、バナナ、焼きのりなど、幅広い食材に含まれている栄養素です。5月が旬の食材であれば、新ごぼうや行者にんにく、かつお、たいなどが挙げられます。

ただし、ビタミンB群は互いに助け合いながら作用するため、特定の食材だけでなくさまざまな食材を摂り、すべてのビタミンをバランスよく摂取することが大切です。

また、水に溶けやすい性質をもつため、野菜はサラダや煮汁ごと食べる汁物にしたり、魚はたたきや刺身にしたりして栄養素が流れ出ないように食べるのがよいでしょう。

肌の5月病の予防・改善には漢方薬も役立つ

肌の5月病には、不調の根本改善を目指す漢方薬をのむのも効果的です。肌の不調を改善するには、「水分の循環をよくして肌に潤いを与える」「肌の乾燥で生じるかゆみや炎症を改善する」ことで肌のバリア機能を高める作用があるものや、「血流を促して肌に栄養を届ける」「水分代謝を促す」ことで肌のターンオーバーを正常化する作用が期待できる漢方薬を選びます。

おすすめの漢方薬

・当帰飲子(とうきいんし)

血流をよくして肌に栄養と潤いを与え、肌の乾燥を改善し、バリア機能を高めます。皮膚の乾燥によるかゆみがある人に用いる漢方薬です。

・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)

血流をよくして肌に栄養をいきわたらせるとともに、水分代謝を整えることで、ターンオーバーを促し、肌荒れや引き出物、しみに働きかけます。比較的体力があり、のぼせるのに足が冷える人に向いています。

漢方薬を始める際の注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん

やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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