「ダイエット目的だったのに…プロテインを飲んだら太った!」管理栄養士が教える、肥満を防ぐ飲み方

プロテインは飲み方次第で太ることがある

プロテインとは、たんぱく質の摂取を目的とした栄養補助食品のことです。ゼリー飲料やバータイプの商品もありますが、液体に溶かして飲む粉末タイプのプロテインが広く利用されていますね。プロテインは、ダイエットしている人や体を鍛えている人に愛用者が多くいます。健康や美容のために摂取している人もいるでしょう。

プロテインを利用している人から「プロテインを飲みはじめて体重が増えた」という声が聞かれることがあります。

体重増加には、ふたつの理由が考えられます。ひとつは、筋肉量が増えたため。プロテインの主成分であるたんぱく質は、筋肉のもとになる栄養素です。プロテインを飲むとともに運動にもしっかり取り組むと、筋肉量がアップします。この場合、体重が増えたとしても問題はありません。 

もうひとつの理由は、体脂肪の増加です。運動量をとくに増やさずプロテインを飲んで体重が増えたのなら、体脂肪が増加していると考えられます。いわゆる「太った」状態です。 

プロテインそのものには、筋肉量を増やす効果はありません。プロテインの摂取に加えて運動に取り組むことで、筋肉量はアップします。そのため、プロテインを利用していても運動に取り組んでいない人は、飲み方を誤ると太る可能性があります。

プロテインで太る理由

肥満は、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多いときに起こります。消費されずに余ったエネルギーが体脂肪として蓄積されるため、肥満になるのです。プロテインを飲んで太る場合も、同じことがいえます。 

プロテインもエネルギーを含む食品です。主成分であるたんぱく質は、1g当たり約4kcalのエネルギーを持っています。またプロテインには、甘みをつけたり栄養を補ったりするために糖質や脂質が加えられています。したがってプロテインを飲めば当然、摂取エネルギーは増えるでしょう。

そこに、プロテインを溶かす牛乳や豆乳のエネルギーも加わります。牛乳と調整豆乳のエネルギーは、どちらも100g当たり61kcalです。 

プロテインで摂取したエネルギーが消費されなければ、体脂肪が増えて太ります。健康状態をよくしたい、キレイになりたいと思ってプロテインを飲んでいても、太ってしまえば意味がありませんね。

肥満を防ぐプロテインの飲み方は?

太らないようにプロテインを飲むには、消費エネルギー量を増やす、または摂取エネルギー量を抑える必要があります。

運動に取り組み、プロテイン分のエネルギーを消費できるのであれば問題ありません。しかし、運動量が少ない人がプロテインを取り入れる場合は工夫が必要です。 

まずは食事を見直して、摂取エネルギーを調整しましょう。お菓子を食べたり、甘い飲み物やお酒を飲んだりする習慣があれば、量や頻度を控えてください。外食が多い人はエネルギーを摂り過ぎているかもしれません。また脂質が多い料理の摂取を控えて、かわりにエネルギーが少ない野菜や海藻のおかずを取り入れることもおすすめです。

プロテインを水に溶かしてエネルギー量を抑えてもいいですね。水だけでは飲みにくい場合、半量を牛乳または豆乳にしてみましょう。 

ただし、プロテインを食事と置き換えることは、栄養が偏るおそれがあるため避けてください。

そもそも、食事からの摂取でたんぱく質の量は十分足りており、プロテインが必要ないこともあります。まずは自分のたんぱく質必要量と、食事から摂取できている量を把握することが大切です。そのうえでプロテインが必要であれば、エネルギーの過剰摂取に注意しながら取り入れてみましょう。

【参考文献】

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」

厚生労働省 e-ヘルスネット「健康的なダイエット:適切な体重管理で、健康づくりをしよう!」

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。

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