趣味や学びなどの活動時間として近年注目される「朝活」。しかし、ただでさえ忙しい日常で、さらに早起きするのはハードルが高いかもしれません。「ふだんの生活をガラッと変えようと思うと大変そうですが、『週末だけでもちょっとチャレンジしてみようかな』と思うと気が楽になります」──そう語るのは、『週末朝活』(三笠書房)の著者で早起きトレーナーの池田千恵さん。池田さんが推奨する「週末朝活」について聞きました。
【写真】「週末朝活」をうまく実践するためにはどんな効果や注意点が?写真とともに紹介
池田さんの考える朝活は、「日常がスタートする前の30分〜1時間を自分のために使う」というもの。
「休日は普段の疲れで昼前まで寝てしまうという人でも、ちょっとだけ早く起きれば立派な『朝活』ですし、早寝早起きを強制するものではありません。なんといっても、週末(休日)の朝には、ふだんとは違うリズムで思いのままに過ごせるワクワク感が詰まっています」(池田さん・以下同)
池田さんが1日のなかで「朝」を重視するのにはこんな理由があります。
「朝、いい気分に浸ることができると、そのあとちょっとへこむようなことがあったとしても、『まあいいか』と、なんとなく許せてしまう気がしませんか? 逆に、朝一番で感じたつまずきや嫌な気持ちは1日を左右してしまいます。
例えば、家族と同居している方が朝食時に家族とケンカして、そのまま家を出てしまったら、ずっと家族のことが気になってしまいますよね。でも仲直りして気持ちよく『行ってきます』と言えたら、1日の気分はまるで違うはずです」
そのためにも、朝の時間に「余白」を作ることが重要だそうです。
「例えば早起きをして周囲を見渡す余白があれば、自然やいつもの光景が私たちにもたらしてくれている美しさに感動できるようになります。
周りの状況がよく見えると、自己中心的な考えが消えて周囲に配慮できるようになります。朝の時間に、上から眺めるように自分を分析すると、周囲の計らいや思いやりに気付くことができて感謝の気持ちが湧き、ポジティブに意識が変わるのです」
「週末朝活」のためにポイントとなるのが、その前夜、「金曜夜」の過ごし方です。
「1日の終わり、寝る前に『ほっとできる自分だけの時間』を作る人は多いでしょう。金曜の夜ともなればなおさらです。しかし、夜の場合、気付いたら夜更かしし過ぎてしまうことにもなりかねません。
平日は残業や付き合いに時間を取られてしまい、『自分だけの時間』がなかなか取れないこともよくあることです」
そこで池田さんは、平日の夜に「ほっとする」という考えを切り替え、「土曜日や日曜日の朝にほっとする」ことを推奨します。
「自分をきちんと大事にしてあげる時間の優先順位が低くあってはなりません。週末の朝なら、自分の意思次第で時間を作ることは可能です。週末の朝にわざわざ早起きするなんて……と思われるかもしれませんが、私にとっては、実はいちばん自分を甘やかせる時間なのです」
池田さんが実際に楽しんでいる「週末朝活」とはどのようなものでしょうか。
「先日は朝6時半から高級ホテルのロビーへ行き、人がほどんどいない貸し切り状態の空間を満喫しました。朝食のピーク前のホテルのレストランでは、お店のスタッフにも余裕があるため、より丁寧なおもてなしを受けることが期待できます。その日は『大切にされている』という実感を得ながら、1日をスタートさせることができました」
他にも、お気に入りの海辺の神社に日の出前に向かい、朝日が昇り始め徐々に明るくなっていく海面を眺めつつ、太陽の光を身体いっぱいに受け止めることもしたそうです。
「自分がまるで太陽電池になったような気持ちになって、エネルギーチャージができました」
「週末朝活」は、慌ただしい平日に傷ついた自分の心と体を癒すための貴重な時間と言えそうです。
◆教えてくれたのは:早起きトレーナー・池田千恵さん
株式会社朝6時代表取締役。国家資格キャリアコンサルタント。2009年に上梓した『「朝4時起き」で、すべてがうまく回り出す!』がベストセラーとなり、「朝活の第一人者」と呼ばれるように。プロデュースを手がける『朝活手帳』は13年連続刊行中。朝1時間の業務改革による生産性向上、働き方改革のための手法を企業に指導するほか、一人ひとりのライフスタイル・目的に応じた朝活の形を提案している。2023年4月、『週末朝活』(三笠書房)を出版。
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