シワやたるみ、くすみ、むくみ……。こうした変化は、加齢だけでなく、体の内側の状態が影響していることも少なくありません。
とくに最近注目されているのが、「糖化」と「酸化」という2つのメカニズムです。
糖化は、余った糖が体内のたんぱく質と結びついて“焦げつき”のような状態を引き起こす現象で、AGEs(終末糖化産物)と呼ばれる物質が肌のたるみや黄ぐすみの原因になるともいわれています。AGEsは一度つくられるとなかなか分解されず、蓄積しやすいことも特徴です。
また、酸化は、紫外線やストレス、過剰なエネルギー摂取などによって体の中で発生する活性酸素が細胞を傷つけること。いわば“体のサビつき”のような状態になり、シワや乾燥、肌の老化が進みやすくなります。加齢とともに抗酸化力は低下しやすいため、食事の選び方がいっそう重要になります。
さらに、食生活の乱れや睡眠不足が続くと、肌の回復力が落ち、むくみや肌荒れといった“老け見え”につながりやすくなります。
・菓子パンと甘いカフェラテでさっと済ませてしまう
・スムージーだけ飲んで出かける
・シリアルと牛乳だけで「ヘルシーなつもり」で済ませている
これらはどれも糖質中心の朝食で、肌や代謝に必要な“材料”が足りていないパターンです。
朝から血糖値が急に上がると、糖化が進みやすくなり、顔のむくみやくすみにつながってしまうことがあります。
すべてをガラッと変える必要はありません。
たとえば、朝食に次のような“ちょい足し”をするだけでも、肌と代謝のサポートになります。
たとえば、
・卵・納豆・ヨーグルトなどのたんぱく質を加える
・ブロッコリーやトマトなどの緑黄色野菜を添える
・白いパンや白米を、雑穀ごはんや全粒粉パンに置き換える
など、ほんの少し加えるだけでも、体はきちんと反応してくれます。
・雑穀ごはんに納豆と卵をのせて、味噌汁を添える
→しっかり食べても重くなりにくく、体が温まります。
・全粒粉トーストに卵とミニトマトをのせる
→忙しい朝でもサッと用意しやすく、栄養バランスも◎。
・ヨーグルトにバナナときなこ、くるみを加える
→腸活も意識しながら、美肌にうれしい組み合わせです。
どれも5分ほどで準備できる手軽な朝食です。
買い置き食材やコンビニの商品でも十分対応できるので、できそうなところから少しずつ取り入れてみてください。
肌や体の変化に気づきやすくなる40代・50代は、「体の声が聞こえるようになってきたサイン」でもあります。
朝食の選び方を少し整えることで、顔色や気分がふっと軽くなる日が増えていきます。
無理をせず、今できることから始めてみましょう。
毎日の朝が、自分を整えるやさしい時間になりますように。
【参考文献】
厚生労働省(2025年),日本人の食事摂取基準(2025年版)
Uribarri, J., Woodruff, S., Goodman, S., Cai, W., Chen, X., Pyzik, R., Yong, A., Striker, G. E., & Vlassara, H. (2015).Advanced glycation end products in foods and a practical guide to their reduction in the diet. Journal of the American Dietetic Association, 110(6), 911–916.
米井, 義和., 八木, 雅之., 高部, 和歌子., & 今, 美里. (2023). 肌の老化: 酸化ストレスと糖化ストレス. 日本香粧品学会誌, 53(2), 83–87.
國吉容梨子
管理栄養士。病院、保育園、行政での勤務を通して現場経験を重ねる中で、忙しさの中で自分の健康や心の余裕が後回しになっていることに気づき、働き方を見直すように。自分自身の暮らしも大切にしながら、誰かの役に立てる形を探し、現在はフリーランスとして活動中。3児の母としての実生活での気づきを活かしながら、特定保健指導や乳幼児健診での栄養相談、商品監修、コラム執筆など幅広く行っている。暮らしに根ざした視点で、“ちょうどいい栄養”を提案している。小さな工夫で、体も心もラクになる。そんな栄養のヒントを届けている。
2025-07-04T12:09:37Z