(1)まさかの父の急逝。思いがけず、短期間となった介護体験

前回は、父を田舎に連れていったものの、東京に戻ってから、誤嚥性肺炎で入院させてしまったこと。また角膜手術もすることになり、入院が続いたことで、認知症が格段に進んでしまったことを書きました。

今回は、介護保険の伴走者となるケアマネジャーさんについて書くつもりだったのですが、2025年8月、突然の徘徊から1年半で、父が帰らぬ人となってしまいました。享年85歳、大往生ではあったのですが、もう少し寝ついたりして、徐々に衰えていくように思い込んでいたこと。また親の介護にはどこか夢中にさせる要素もあって、とくにこの1年は、父が自分の生活の中心になってしまっていたこと。経験してみないとわからないことでしたが、数週間は自分が空っぽになるような、我を失う感じがありました。

でも、親をなくしたあとというのは、考えなくてはならないこと、やることがいろいろあるもので、そのプロセスのなかで、自分を取り戻してきた感じです。また、京都が拠点だったのもよかったようです。考えてみると、これだけお寺だらけの街ですから、亡くなった人はただ会えないだけと言いますか、「寂しくはなるけれど、近くにはいる」。そんな感覚で話される方ばかりです。畑のおばあさんが「ちらし寿司を作ったから、取りにおいで」と声をかけてくださったり、行きつけのアロマセラピーのサロンの方がわらび餅をくださったり。話すことで、自分自身も父の死について慣れてくるし、さりげないみなさんの優しさ、労りに心がほぐれていきました。

そういうわけで、思いがけず、短期間となったわたしの介護経験ですが、ひとまずは時計の針を1年前に戻したいと思います。もうしばらくお付き合いくださいね。

→【記事の続き】(2) まさかのミラクル。Oリングでケアマネさんを見つける はこちらから

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。

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写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。

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Saya

アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。

2025-09-30T07:09:05Z