便秘対策の代表格である食物繊維は、多くの日本人が不足しやすい食品成分です。
しかし、食物繊維を摂りすぎるとかえって便が出にくくなることがあります。特に、玄米やかぼちゃ、ブロッコリーなどに多い「不溶性食物繊維」は、便のかさを増やす働きがあります。もし腸の動きが弱っている人が不溶性食物繊維ばかりを摂りすぎると、便が硬くなり腸内にとどまりやすくなる場合も。バランスの良い食事を心がけて食物繊維の摂りすぎには気を付けましょう。
食物繊維が多い食材と聞くと、ごぼうやさつまいもなど、繊維の多そうな食材を思い浮かべる方もいるでしょう。これらには不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維には2種類あり、見落とされやすいのが「水溶性食物繊維」です。便に水分を含ませ、やわらかくする働きがあります。昆布・わかめ・もずくなどの海藻類、オクラやなめこなどぬめりがある食材などに多く含まれています。野菜を意識して食べているのに便秘が続く場合、海藻やぬめりのある食材も取り入れていただくといいかもしれません。
便秘対策で意外に注目されていないのが、マグネシウムです。マグネシウムには、腸内に水分を引き寄せて便をやわらかくする働きがあります。医療現場では酸化マグネシウム系の便秘薬が使われていますが、食材から摂る場合は便秘予防につながる可能性のある栄養素として取り入れるといいでしょう。
マグネシウムを多く含む食材には、わかめや昆布などの海藻類、納豆や豆腐などの大豆製品、玄米やもち麦、ナッツ類などがあります。水溶性食物繊維を含む食材と重なる点も多く、組み合わせてとることで相乗効果が期待できます。
ダイエット中の人や健康意識が高い人ほど、脂質を控えている人もいるでしょう。実は、適度な脂質は腸を刺激し、便のすべりを良くする役割があります。オリーブオイル、えごま油、ナッツ類、青魚などの良質な脂質を毎日の食事に少しずつ取り入れることで、便秘改善につながる可能性があります。
水分不足も便秘の大きな原因ですが、「まとめて飲む」よりも「こまめに飲む」ことが重要です。特に朝起きてすぐのコップ1杯の水は、腸の動きを促すスイッチになります。冷たい水は冷えやすいため、常温の水や白湯、ノンカフェインのお茶なども取り入れましょう。
便秘の原因は食事内容だけでなく、運動不足・ストレス・ホルモンバランス・体質や疾患など、さまざまな要因が関係します。本記事ではおもに「食事」の観点から解説していますが、症状が悪化する場合や不調がある場合は、医療機関への相談も検討しましょう。
【参考文献】
・厚生労働省.生活習慣病などの情報.「食物繊維の必要性と健康」
・文部科学省.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
・便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症
・Association of dietary magnesium intake with chronic constipation among US adults: Evidence from the National Health and Nutrition Examination Survey
寺田あさみ
管理栄養士、ライター。大学卒業後、老人保健施設や病院での大量調理業務・栄養管理業務を経験。クリニックで生活習慣病予防の食事指導・メタボリックシンドローム予防の特定保健指導業務に携わる。さまざまな分野での栄養管理や食事指導の経験を活かし、生活習慣病予防のためのダイエット指導・ヘルスケアアプリの開発協力・コラムの執筆など、フリーランス管理栄養士として活動中。
2026-02-01T10:08:55Z