脂質異常症の治療において、食事療法は基本的なアプローチです。厚生労働省の資料によれば、脂質異常症の食事療法は、空腹時のLDL-コレステロール値が140mg/dL以上、HDL-コレステロール値が40mg/dL未満、中性脂肪値が150mg/dL以上の患者に対して推奨されています。 citeturn0search5
食事療法にかかる費用は、管理栄養士による栄養指導料が主なものです。外来での個別栄養食事指導料は、1回あたり約2,000円から3,000円で、健康保険が適用されるため、自己負担はその1割から3割程度となります。また、食材の選択や調理方法の工夫により、食費の増加を抑えることも可能です。
食事療法の効果は、個人の生活習慣や継続性に大きく依存します。適切な食事管理を継続することで、LDL-コレステロール値の改善が期待できますが、効果が現れるまでに数ヶ月を要することもあります。
食事療法だけでは十分な効果が得られない場合、薬物療法が検討されます。スタチン系薬剤などの脂質異常症治療薬は、健康保険の適用を受けることができます。例えば、ジェネリック医薬品を使用した場合、3割負担で月々約1,000円から3,000円程度の自己負担となります。これに加えて、定期的な通院受診や血液検査に関連する費用も考慮する必要があります。
薬物療法の効果は比較的早く現れることが多く、LDL-コレステロール値の低下が期待できます。しかし、副作用のリスクや長期的な服用による経済的負担も考慮する必要があります。
食事療法と薬物療法の費用対効果を比較すると、初期段階では食事療法の方が経済的負担が少なく、生活習慣の改善にもつながるため、長期的な健康維持に寄与します。一方、薬物療法は即効性があり、短期間でのコレステロール値の改善が期待できますが、継続的な費用負担が発生します。
最適な治療選択は、患者の健康状態や生活習慣、経済的状況によって異なります。医師や管理栄養士と相談し、個々の状況に応じた治療計画を立てることが重要です。また、特定健康診査や特定保健指導を活用することで、生活習慣病の予防や早期発見が可能となり、医療費の削減にもつながります。
脂質異常症の治療において、食事療法と薬物療法はそれぞれに利点と課題があります。経済的な側面を考慮すると、初期段階では食事療法を中心に取り組み、必要に応じて薬物療法を併用することが望ましいとされています。公的な支援制度や健康保険の適用を活用し、無理のない範囲で継続的な治療を行うことが、健康と経済の両面を踏まえた最適な選択となるでしょう。
参考資料:
厚生労働省「保険診療の理解のために」
全国健康保険協会「どれくらい安くなるの?|ジェネリック医薬品」
厚生労働省「特定健康診査・保健指導に必要な経費について」
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
ヨガジャーナルオンライン編集部
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2025-05-04T11:14:44Z