「繊維にそって切っていたわ…」玉ねぎの栄養価を損なうNGな切り方とは?管理栄養士が解説

玉ねぎにはどんな栄養素が含まれているの?

玉ねぎにはビタミン類はあまり多く含まれていませんが、新陳代謝を促し、神経を鎮める作用があります。また、疲労回復や抗酸化作用、生活習慣病予防にもなる成分が満載の野菜です。特に、ポリフェノール成分ケルセチンの含有量は野菜のなかでもダントツです。ケルセチンは、抗酸化作用だけでなく、悪玉コレステロールを減らす働きがあり、血流を改善し、血栓を予防する効果も期待できます。様々な料理に使える身近な野菜ですし、通年いつでも手に入りやすいので、毎日活用してほしい食材です。

香り成分アリシンの特徴

玉ねぎには、アリシンという香り成分が含まれています。アリシンは、糖質からエネルギーを作るビタミンB1の吸収率を高めるほか、血液をサラサラにしたり動脈硬化を予防する効果があります。もともとは【アリイン】という成分が、切断によって酵素【アリイナーゼ】と結びつくことでアリシンに変わります。加熱することでにんにくも含まれている成分【アホエン】【スコルジニン】に変化。免疫力強化、記憶力の向上、血行を促進して冷え性改善など様々な効果が期待できます。

アリシンを損なうNGな切り方とは?

このアリシンは、細胞が壊れて空気に触れることで発生します。つまり、玉ねぎは切らないとアリシンの成分が出ないという事です。例えば、切らずに丸ごと調理したり、繊維に沿って大きめに切ってしまうと大損することに。おすすめの切り方は、繊維を細かく断つみじん切りです。切った後に10~30分常温で放置することで、アリシンが更に増加します。

《NG》丸ごと調理 ・ 繊維に沿って大きく切る

《おすすめ》繊維を細かく断つみじん切り 繊維を断ち薄くスライス

また、サラダに入れるときなどは辛みを抜くために水にさらすことがありますが、水溶性であるアリシンだけでなく、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルも流れ出てしまうので注意しましょう。

玉ねぎを食べる時のワンポイント

体に良いからといって、玉ねぎをたくさん食べすぎると、活性化されたアリシンの成分で胃が荒れてしまうこともあります。辛さが心配な時は、切った玉ねぎを長めに常温に置くことで、少し辛みが落ち着きます。また、酢を加えても辛みを和らげることができ、栄養もキープできるのでおすすめですよ。

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やなぎかおり

特別養護老人ホームにて介護食の大量調理や栄養士業務を経験。働きながら管理栄養士の資格を取得。その後、中学校給食センターにて献立作成、給食管理、食育授業に携わる。結婚、出産を経て、ヘルスケア栄養指導士の資格を取得。子育てをしながら栄養に関する記事執筆を行っている。

NS Labo(栄養サポート研究所)

全国の栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やダイエット、美容関連の商品開発や監修、講演やコラム執筆、メディア出演などウェルネス分野を中心に幅広く事業を行っている。また、2020年に「ウェルネスライフコーチ協会」を立ち上げコミュニティを通して健康貢献活動を行っている。

2025-05-08T11:47:13Z