【患者に聞け】糖尿病(1)
数年前から血糖値が基準値を超えながら、自分にさまざまな言い訳をして治療を先延ばししている人もいるのではないか。今回は突然、空腹時血糖値が170ミリグラム/デシリットル、HbA1cが9%を超えたことを知った60代会社員のケースをリポートする。
この男性Aさんは、これまでも糖尿病を疑われる空腹時血糖値の126ミリグラム/デシリットル、HbA1c6.5%をわずかながら超えていた。
健診先の医師からは「血糖値データは糖尿病を示している。何十年も通っているのだから、もっと危機感を持ってください」と言われ続けてきたが、「誤差の範囲」とうそぶき、仕事の忙しさを口実に特段の対策を講じてこなかったという。
ところが、春の健診で空腹時血糖値が170ミリグラム/デシリットルを超え、HbA1cは9%台に。健診の医師はここ数年の血糖値グラフを示しつつ、「非常事態です。すぐに専門医を受診してください」と強い口調で言い、データをコピーして渡してくれたという。
医師は口には出さなかったが、明らかに重度の糖尿病で即インスリン注射が必要なレベル。さすがに「これはヤバい」と感じたAさんは、すぐに知人のことを思い出したという。
「知人も同じように血糖値が急上昇したときに『そのうち対策すればいい』とうそぶいているうちにどんどん状態が悪くなり、足を切断することになったのです」
受診するため近くの糖尿病専門医の予約を取ったが、仕事のスケジュールが1週間先まで詰まっており、受診は10日後となったという。
「本当は無理すれば、2~3日後には受診できたのですが、心のどこかで、『努力すれば自力で血糖値は戻せるのではないか』と思っていました。ですから、その10日間で何とかしようと思ったのです」(つづく)
2023-05-25T00:41:08Z dg43tfdfdgfd