腎不全は腎臓の機能が著しく低下した状態であり、その症状のひとつとして爪が白くなることがあります。
腎不全により、爪の付け根側の半分が白く、先端側の半分がピンク色になったり色素が沈着したように外表上、見えたりすることがあります。
特に、足の爪は血液の健康状態に影響を受けやすく、血中の赤血球やヘモグロビンが不足して、貧血になると爪が白くなることがあります。
足の爪が白い状態が続く場合、腎不全などの病気を発症している可能性があります。
したがって、爪が白くなる以外にも、腎臓病に関連する思い当たる症状がある場合は速やかに医師の診断を受けて、体に異常がないかを確認しておくことを推奨します。
腎炎などの病気で、血液を濾過する「糸球体」の網の目がつまってしまうと腎臓の機能がおち、老廃物を十分排泄できなくなり、このような状態を腎不全といいます。
腎臓の働きが正常の30%以下に低下した状態を腎不全と定義していて、いったん慢性腎不全になると、腎機能は回復不可能となります。
腎臓病が進行して腎臓の機能が低下すると、慢性腎不全と呼ばれる状態になり、さらに慢性腎不全が進行すると末期腎不全になります。
腎不全の症状には個人差がありますが、初期の段階では自覚症状がないことがあります。
健康診断や他の病気の検査を受けて、初めて腎不全という病気に気が付くことがあります。
腎不全の病状が進行すると、さまざまな自覚症状が出現し、さらに症状を放置すると血液透析や腹膜透析、腎臓移植などを施行しなければならなくなります。
急性腎不全と慢性腎不全では、人によって症状が異なることがありますが、共通する一般的な症状は尿の異常です。
尿異常とは、例えば、排尿回数が極端に増えたり、減ったりするほか、正常な尿とは違う色の尿が出たりすることがあります。
それ以外にも、動悸、息切れ、貧血、身体のむくみ、高血圧、嘔気、発熱、腰や腹部の痛み、食欲不振、皮膚のかゆみ、爪の一部が白くなるなどの症状が認められる場合があります。
腎不全の場合、自覚症状があればかなり病状も進行しているケースが多いので、すぐに専門医療機関を受診することをお勧めします。
日頃から自分の尿の状態を確認したい人には、市販の試験紙を利用して、尿たんぱくや尿糖、血尿などを家庭でもチェックすることができます。
急性腎不全では通常、尿の出が悪くなったり(乏尿)、あるいは全く出なくなったり(無尿)します。
慢性腎不全では腎機能の低下の程度が軽い間はほとんど症状がありません。
ところが、腎機能がかなり低下してくると尿量が増える、目のまわりや足のむくみ、疲れやすい、食欲がない、息切れがする、皮膚がかゆいなどの症状が出現します。
腎不全では、爪が白く変色することがあります。
足の爪が白くなった場合は、腎不全など、体の不調を示している場合もあるため、気になる場合は専門医師の診断を受けるように心がけましょう。
診察を受ける際には、爪が白くなり始めた時期、他の自覚症状などがあるかどうかを担当医師に詳しく伝えましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
2025-06-06T12:08:41Z