バナナをはじめ、果物には健康のために必要なビタミンやミネラル、食物繊維が含まれます。同時に炭水化物(ブドウ糖・果糖)も多く含まれます。炭水化物は摂りすぎると、血糖値や中性脂肪の上昇に影響します。適量の摂取を意識しましょう。
特に注意が必要なのは、糖分が濃縮されたドライフルーツや、果糖ブドウ糖液を含むジュースです。生の果物よりも影響しやすいとされているため、摂取の頻度や量に注意しましょう。
生の果物にはカリウムが多く含まれます。特にバナナには100g(約1本)あたり360mgのカリウムが含まれます。カリウムはナトリウムと作用して細胞の浸透圧を調整しますが、腎臓の機能が低下すると、カリウムの排出に影響します。
医師からカリウム制限の指導を受けている場合、バナナの摂取については確認しましょう。
病気による食事制限がない場合、果物の摂取の目安は1日あたり200gです。バナナ1本あたり約100gです。そのため、1日のうち朝以外にも果物を食べる習慣がある場合、食べすぎている可能性があります。
果物を食べすぎると、その分身体に必要な他の栄養素が不足する可能性があります。
バナナに限らず、果物には水分や食物繊維が多く含まれます。そのため、体質によってはおなかが緩くなったり、身体が冷えやすい方は、冷えを助長する可能性があります。
朝起きたばかりで、食欲がわかないときや、身体の冷えを感じるときは、胃腸に負担がかからないよう、果物は冷やし過ぎない状態で食べるのも工夫の1つです。冷たいまま食べる際は、白湯や温かいお茶と一緒に摂りましょう。
押さえておきたいポイントとして、果物の適量は、その方の生活パターンや体調など、その時々に応じて変わります。
例えば、体調不良などで食欲がなく、「他の食品は食べにくいが、バナナなら食べやすい」というときに、1日3本食べたらダメですよ。とはなりません。
むしろ消化に負担がかかりにくいため、食べられそうであればおすすめしたい食品の1つです。ただし、カリウム制限の指示がある方は、他の食品への代替が検討されます。
バナナの食べごろは果皮にシュガースポット(黒い斑点)が出たくらいです。バナナは低温障害を受けやすく、購入後すぐに冷蔵庫に入れると、甘くなる前に果皮が黒くなってしまいます。常温で保管し、冷やして食べる場合は、食べる少し前に冷蔵庫に入れるのがおすすめです。
バナナに含まれる食物繊維やオリゴ糖は腸内環境の改善にも役立ちます。ぜひ普段の食生活にとりいれてみましょう。
【参考】
・食品成分表2024
・食事バランスガイド(厚生労働省・農林水産省)
・食べ物と健康Ⅱ(化学同人)
・動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版【日本動脈硬化学会】
西迫祐希
幼少期から趣味は「食べること」。思春期に肥満で悩んだことをきっかけに管理栄養士を志す。急性期病院で管理栄養士、日本糖尿病療養指導士として栄養管理や栄養食事指導、糖尿病透析予防指導、栄養サポートチーム(NST)専任などを経験。独立後は「病気になる人を減らしたい」という想いで、一次予防から三次予防まで対応できる管理栄養士を目指している。現在はオンライン・対面での栄養指導や給食運営のサポート、レシピ監修、ライターなど幅広い分野で活動している。
2025-07-02T23:09:13Z