お弁当を作る際は細菌を「つけない」ことが一つ目のポイントです。基本的な対策は手洗いです。掃除後、ペットに触れた後、トイレの後など生活の様々な場面で手に細菌が付着する可能性があります。水だけでは細菌は落としきれないため、石鹸等を使って丁寧に手を洗う習慣がつくと良いでしょう。また、食材をしっかり洗うことも大切です。野菜や果物は表面に汚れや細菌が付いていることがあるため、調理前は必ず水で洗いましょう。おにぎりやサンドイッチなど手で直接触れることが多い食品は、ラップや調理用手袋の使用も有効です。細菌が付くリスクを減らすことができます。
最近は時間と共に増殖します。作り置きの料理を弁当のおかずに使う際は、必ず再加熱してから使うことが重要です。しかし熱々のままお弁当に詰めると蒸気による水分で痛みやすくなるため、完全に冷ましてから詰めましょう。また持ち歩く際の温度管理も重要です。保冷バッグに保冷剤を入れ、お昼の時間まで一定の温度を保つ工夫をしましょう。
細菌をやっつけるためには加熱が効果的です。多くの細菌やウイルスは高温に弱いため、食材を中心まで火を通すことで殺菌効果が得られます。さらに包丁やまな板、スポンジなどの器具も洗浄後に熱湯や漂白剤で定期的に消毒しましょう。食後の食器や調理器具を長時間シンクに放置すると細菌が繁殖しやすくなります。できるだけ早く洗い、シンクや三角コーナーを常に清潔に保つことが大切です。
半熟のゆで卵は中心部に熱が通っておらず、サルモネラ菌などが残っている可能性があります。お弁当に入れる時は必ず固ゆでのものを使用しましょう。卵焼きも余熱で火を通さず、最後までしっかり火を通しましょう。
フルーツは水分が多く、カットすると更に酸化や腐敗が進みやすい食材です。皮をむいたりカットした果物は別の容器に入れ、保冷剤と一緒に持ち歩くのが安全です。
梅干しには抗菌・殺菌効果がありますが、その効果が期待されるのは梅干しが触れている部分のみです。ごはんを梅干しにのせるだけでは全体に効果が行き渡らないので、ごはん全体に梅肉を混ぜ混むとより広範囲で殺菌効果を得ることができます。
ミニトマトのヘタと実の隙間には土や細菌が残っている可能性があり、そこから傷む原因にもなります。ミニトマトを使う場合はヘタは取り、特に根元を良く洗ってから使いましょう。
肉じゃがなど煮汁の多い煮物は水分が多く、細菌が繁殖しやすくなります。お弁当に入れる時はしっかりと煮汁を切り、冷ましてから詰めましょう。更にシリコンカップや仕切りを使って他のおかずと分けると、汁移りによる痛みも防げます。
夏場も安心してお弁当を楽しむために、適切な衛生管理を食材を選びましょう。
〈参考文献〉
食中毒予防3原則編:農林水産省:農林水産省
【読み物版】生活の中の食品安全 -お弁当も、食中毒に気をつけよう!-その2 ◆Q&A◆平成29年4月14日配信 | 食品安全委員会 - 食の安全、を科学する
田中ひろか
管理栄養士。保育園栄養士、ダイエットインストラクターとして食事指導とレシピ提供の経験を経て渡豪。バイロンベイでのヨガリトリート中ベジタリアンの食生活を経験したことから、幅広い野菜の食べ方を知る。食を楽しみながら健康的なライフスタイルを築くため、’’野菜をおいしく手軽に食べる方法’’を研究中。現在はメルボルンに在住し、オンラインの食事指導とカフェのヴィーガン、ベジタリアンメニューの提案に携る。
2025-06-05T11:49:17Z