深層のインナーマッスルのひとつ、横隔膜は、呼吸をする際に働く、胸郭の下の肋骨についている膜状の筋肉です。腹式呼吸ができていれば、息を吸うときに下がって、肺が膨らみ、息を吐いたときに上がります。まずは吸ったときにおなかが、前だけでなく横にも広がっているか、吐いたときに凹んでいるか、チェックしてみましょう。当たり前と思うかもしれませんが、横隔膜が硬まっているせいで、この動きがうまくできていない人も少なくありません。
次は実際に触って硬さチェックもしてみましょう。 肋骨に前側から指をあて、肋骨の下部分に4本指をひっかけてみましょう。 指がひっかけられない場合や、ひっかけられても痛みがある場合も少し固まっています。
※痛みがある場合や指がひっかからなくても、決して無理に押したりしないようにしてください。
セルフケアをいくつか紹介していきますので一緒にゆるめていきましょう。
指がひっかけたられる人は、そのままゆったり5~10呼吸ほど呼吸を続けます。 強く押したりせずに肋骨に指をひっかけた状態で呼吸をしてみましょう。
※指が引っかからない場合は肋骨の下側をやさしくさすってください。
呼吸に関わる筋肉の中で肋間筋のしなやかさも大切。たくさん空気を取り込む際、横隔膜が下がってスペースを作るだけでなく、肋間筋がゆるんで肋骨の間が広がります。 運動不足などで肋間筋が固まると深い呼吸を阻害してしまいます。 胸郭周りをゆるめる猫のポーズや、体側を伸ばしながらゆっくり胸式呼吸をすることで肋間筋をゆるめましょう。
1.両手を肩幅、両膝を腰幅でマットにつく(肩の下に手首、腰の下にひざがくるように四つんばいの姿勢になる。)
2.みぞおちのあたりを中心に、吐く息でみずおちを天井にむけて持ち上げ体幹部を丸め、吸う息でみずおちを床の方にたらして体幹部をそらすを、ゆっくり呼吸にあわせて5~10呼吸ほど繰り返す
3.1の姿勢に戻り、右手の手の甲を左手の内側を通すように滑らせて、肩や側頭部をマットにつき、上体をねじった状態で5呼吸キープ
4.反対の側も同様に行う
5.1の姿勢に戻り、腰と膝はなるべくそのままで手だけを前に歩かせて顎をマットにつき、胸を開いて5呼吸キープ(顎をマットにつけるのがつらい方はおでこを床につけましょう)
1.安楽座になり、右手を上げる
2.右坐骨を床から浮かないように意識を向け、右手を左斜め上に伸ばしていく
3.右わき腹に左手を軽くそえて、肋骨の動きを感じながらゆっくり5呼吸程、呼吸を続ける
4.反対側も同様に行う
1.安楽座になり、坐骨を左右にゆすって坐骨をマットに対して立てる
※体幹部をつぶさず、かといって突き出さずに、百会(鼻の真ん中と耳の上側の付け根から頭頂部に向かって上がった交点)が天井に吊られるように意識しましょう。
2.息を吐いたら、次の吸う息でお腹の前側だけでなく、横や後ろにも全方向に膨らむ意識で吸う。※とにかくたくさん吸おうとすると、りきんで、横隔膜以外も働きやすいので8割くらいの意識が良いです。ゆったり呼吸をします。
3.吐く息の際、吸う息の2倍以上の時間をかけて吐く(4秒で吸ったら8秒以上、1:2の配分で)
※その際、できるだけおなかのへこみ方が均等になるようにコントロールしてみましょう。(最初にたくさん凹んで待つのでなく、ゆっくり徐々に凹んでいく感覚)10呼吸ほど続けます。
横隔膜がしなやかになると、スタイルやこころの面だけでなく、声の通りもよくなるなどうれしい変化がたくさん。姿勢に気を付けて一緒に練習していきましょう。次回は横隔膜と連動して働く骨盤底筋群についてもお話していきます。
仁平美香
WAY-TOKYOヨガ&ボディケアサロン主宰 パーソナルヨガおよびグループレッスンの他、オイルマッサージ、指圧整体等を様々な年代のクライアントに提供。ヨガ講師(WomensAwarenessYoga、月経血コントロールヨガ、産後、マタニティヨガ等、講師養成スクールにて講師育成を行うほか、イベントやレギュラークラスで指導中)、栄養士。女性のためのヨガ協会代表。「カラダをゆるめてこころを整えるはじめての月経血コントロールヨガ」「医師もすすめる血管美人ヨガ」等8冊の著書がある。雑誌・WEB等コラム連載&監修多数。
2025-05-09T10:16:58Z