「最近、なんだか疲れやすいし、動くとすぐ息切れする…」、そんなふうに感じていませんか?
年齢のせいかな、体力が落ちただけかな…と軽く考えてしまいがちですが、実はそれ、血管トラブルのサインかもしれません。
特に40代後半から50代にかけての女性は要注意。
ちょうどこの時期に女性ホルモン、特にエストロゲンがガクッと減りはじめます。
エストロゲンといえば、妊娠や出産に関わるホルモンというイメージが強いかもしれませんが、実は血管をしなやかに保ち、動脈硬化を防いでくれる大切な存在でもあります。
イメージしてみてください。若い頃の血管はまるでゴムホースのようにしなやかで、血液がスムーズに流れます。
でも、エストロゲンが減ると、このホースがだんだん固くなり、細かいヒビが入ってしまうイメージです。
そうなると血流が悪くなり、血管の壁にコレステロールなどがたまりやすくなるんです。
この状態が進むとどうなるか…。
動脈硬化が進み、最悪の場合は心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気につながってしまいます。
実際、女性は閉経前までは男性より心臓病のリスクが低いと言われていますが、閉経後は一気に男性と同じくらいか、それ以上にリスクが上がることがわかっています。
「え、そんな急に!?」と思うかもしれませんが、ホルモンが減るスピードは想像以上に早いんです。
だからこそ、「まだ大丈夫」と油断していると、知らないうちに血管がダメージを受けてしまうことも。
では、女性ホルモンの低下に伴う血管トラブルをどう防げばいいのでしょうか?
ポイントは、「気づいたら早めに対策を始める」ことです。
例えば、こんな症状はありませんか?
これらは更年期症状の一部でもありますが、実は血流が悪くなっているサインでもあります。
「歳のせい」と放っておくと、動脈硬化が進んでしまう可能性も。
気になる症状があれば、かかりつけ医で相談してみると安心です。
食事は血管を元気に保つための基本中の基本です。
一方で、甘いものや揚げ物の食べすぎは要注意。
つい自分へのご褒美としてスイーツを食べたくなりますが、毎日続くと血管に負担をかけることになります。
ハードな運動は続きませんし、かえってストレスになることも。
おすすめは1日20分のウォーキングや軽いストレッチです。
血液の流れが良くなるだけでなく、ストレス解消にもなります。
ちょっとした工夫でも運動量は増やせます。
無理なく習慣化することが一番大切です。
ストレスは血管を一気に老けさせます。
「イライラして血圧が上がった!」という経験はありませんか?
これは単なる比喩ではなく、実際にストレスが血圧に影響しています。
深呼吸や趣味の時間を作るだけでも効果的。
「あれもこれもやらなきゃ」と頑張りすぎず、時には肩の力を抜くことも大切です。
健康診断は、血管トラブルの早期発見に欠かせません。特に以下の数値には注目しましょう。
・血圧
・コレステロール値
・血糖値
・中性脂肪
「去年までは大丈夫だったから平気」と油断せず、毎年チェックして変化を見逃さないことがポイントです。
女性ホルモンは、私たちの体を守る頼もしい存在。
でも、40代以降はそのホルモンが減少し、血管が急に弱くなってしまう時期です。
手足の冷えや息切れ、むくみなどの症状は、血流が悪くなっているサインかもしれません。
食事、運動、ストレスケアを日常的に意識することで、血管の老化をゆるやかにすることができます。
定期的な健康診断で、数字の変化をしっかりチェックすることも大切です。
「更年期だから仕方ない」とあきらめるのではなく、ちょっとした工夫で未来の健康は大きく変えられます。
血管は、一生付き合っていく相棒です。今からでも遅くありません、少しずついたわっていきましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
2025-09-28T12:09:04Z