更年期のメンタル不調もダイエットが続かないのも〈ビタミンB〉が原因 ?管理栄養士が解説

リラックスを促す「セロトニン」や「GABA」、やる気を高める「ノルアドレナリン」には「ビタミンB群」が欠かせない

リラックスを促す「セロトニン」や「GABA」、やる気や集中力を高める「ノルアドレナリン」。これらの神経伝達物質の合成には、「ビタミンB群」が欠かせません。

自律神経の働きを支える神経伝達物質は、体内でたんぱく質(アミノ酸)から合成されます。つまり、たんぱく質とビタミンB群の両方が、心と体のバランスを保つために必要なのです。

「ビタミンB群」は、生きているだけで消耗する

「ビタミンB群」は、ストレスや不規則な生活、アルコール摂取などによってどんどん消耗しやすい栄養素です。今、メンタルバランスを崩す人が増えている背景には、たんぱく質不足だけでなく、ビタミンB群の不足も関係していると考えられます。

その理由は「ストレス」。ストレスがかかると、体内でエネルギーを作るためにビタミンB群が使われ、消耗してしまうのです。

ビタミンB群は、3つの疲労――「肉体的疲労」「内臓疲労」「脳疲労」――に深く関わっています。このうち、「脳疲労」はまさにストレスによって起こるもの。だからこそ、ストレスが多い人ほど、ビタミンBを意識的にチャージする必要があります。

極端な「糖質制限」は、ビタミンBを奪うことも

糖質をコントロールすることはとても大切。でも、「やり方」にはコツがあります。

極端な糖質制限を行うと、体がエネルギー不足に陥り、ストレスホルモン(コルチゾール)が分泌されやすくなります。また、糖の代謝にはビタミンB1が欠かせないため、必要量が増えて体内のビタミンB群が不足しやすくなります。

その結果、「やる気が出ない」「イライラする」「気分が落ち込む」といった症状が起こりやすくなります。つまり、体重が減っても、心が疲れてしまうのです。“痩せても幸せじゃない”状態を避けるためにも、ビタミンB群の補給は欠かせません。

女性は特にビタミンBを消耗しやすい

更年期やPMSではホルモンバランスが変化し、ストレスを感じやすくなります。また、「冷え」も女性にとって大きな身体的ストレスです。こうした状況では、ビタミンB群の消耗が増すことが知られています。

秋や冬に気分が沈みやすいのも、日照時間の減少によるセロトニン合成の低下が関係しています。この時期こそ、心と体を整える食事を意識してみましょう。

ビタミンBを消耗しないための5つの習慣

  1. アルコール・タバコを控える
  2. 極端なダイエットをしない
  3. 湯船にしっかり浸かる
  4. マッサージやセルフハグでリラックス
  5. 下半身を冷やさない

ビタミンB群をチャージする食品5選

  1. 玄米・キヌア・・・主食やサラダにプラスして代謝サポート
  2. ピーナッツ・ピーナッツバター・・・間食にぴったり(食べすぎ注意)
  3. 豚肉・レバー・マグロ・カツオ・・・豚汁やお刺身で効率よく補給
  4. のり・あおさ・・・味噌汁やおにぎりに加えてミネラルもプラス
  5. かき・あさり・しじみ・・・缶詰でもOK!鉄・亜鉛も同時に摂れる

+αでおすすめなのが、卵・納豆・サバ缶・バナナ。これらもビタミンB群が豊富で、日常に取り入れやすい食材です。

まとめ:ビタミンB群を味方につけて、心と体を軽やかに

心と体は「食べ方」で整います。ビタミンB群を味方につけて、ストレスに強い心と、軽やかな体を育てていきましょう。今日から、少しずつ始めてみませんか?

松田 真紀

1972年、兵庫県生まれ。管理栄養士。日本抗加齢医学会認定指導士。アスリートフードマイスター3級。女子栄養大学卒業。株式会社バードワークス代表取締役。1994年、明治乳業株式会社入社。その後、電通など広告代理店勤務を経て、2014年、スポーツと健康に特化した「食プロデュース」を行なう株式会社バードワークス設立。自ら18才から15年以上20kgの体重増減、摂食障害に。苦しいダイエット生活の末辿り着いた、外食、コンビニ、レンチン、OK!ラクして食事を楽しむダイエットを提案する管理栄養士として300以上の施設団体など多方面で活躍中。著書『居酒屋ダイエット』(三笠書房)。趣味はトライアスロン、100kmウルトラマラソン、フルマラソン、全米ヨガアライアンス200習得中。

2025-10-29T08:08:47Z