ナッツにカビが生えると、発がん性の高いアフラトキシンと呼ばれるカビ毒が発生する可能性があります。アフラトキシン類は、穀類、落花生、ナッツ類、トウモロコシ、ドライフルーツなどに寄生するかび毒の一種で、摂取すると最悪の場合死に至るケースもある危険な物質です。アフラトキシンは熱に強く、加熱調理してもほとんど死滅しないことも特徴です。そのため日本では総アフラトキシン量(アフラトキシンB1、B2、G1、G2の総和)が10μg/kgを超えた食品の流通が規制されています。国内農産物から規制値を超えるアフラトキシン類が検出されることはほとんどありませんが、家庭での保存状態が悪いとアフラトキシンが発生するリスクがあります。
カビは高温多湿な状態で発生します。湿度の高い室内で保存したり、密閉されていない袋で保存しているとナッツにカビが発生しやすくなります。特に湿度が高い梅雨時は注意が必要です。ナッツは常温で保存することも多いですが、常温で保存しているナッツは湿気やすく食感もすぐ変わるのでカビが生えているかどうか見分けにくいケースもあります。カビが生えたナッツは以下のような見た目の変化が見られることがあります。
・白いふわふわとした物質が付着している
・緑色、黄色く変色している
ナッツの品質を保ちつつカビの発生を防ぐには、湿気・酸素・熱・光を避けることが大切です。湿気はナッツ特有のカリっとした食感を損ない、湿度が高い環境ではカビが発生しやすくなります。また、酸素・熱・光にさらされることで酸化が進みやすくなります。ナッツは脂質が多いため、酸化しやすい食品の一つです。酸化が進むと風味が落ち、古い油の臭いやべたつきが生じます。
ジッパーつきの袋や、パッキン蓋付のガラス容器がおすすめです。乾燥材を一緒に入れておくと湿気対策にも効果的です。
蓋の開け閉めが多く酸素に触れる機会が多いとどんどん酸化が進んでしまいます。1食分ずつ小分けにして保存しておくと食感や風味を損なわず保存できます。
保存環境は直射日光が当たらない20℃以下の場所が理想的です。扉付きの棚やパントリーなど湿度が低く、一定に保てる場所が適しています。
冷蔵庫内は温度が一定で光も入らないため、ナッツの保存に適しています。更に長期保存する場合はジッパー付の保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫で保存しましょう。ナッツは水分が少ないため凍ったままでも調理に使用できます。
〈参考文献〉
いろいろなかび毒:農林水産省
カビ毒の危ない健康被害|アフラトキシン自然界最強の発がん性物質! | 食環境衛生研究所
かびとかび毒についての基礎的な情報:農林水産省
田中ひろか
管理栄養士。保育園栄養士、ダイエットインストラクターとして食事指導とレシピ提供の経験を経て渡豪。バイロンベイでのヨガリトリート中ベジタリアンの食生活を経験したことから、幅広い野菜の食べ方を知る。食を楽しみながら健康的なライフスタイルを築くため、’’野菜をおいしく手軽に食べる方法’’を研究中。現在はメルボルンに在住し、オンラインの食事指導とカフェのヴィーガン、ベジタリアンメニューの提案に携る。
2025-05-07T06:31:03Z