まずお粥。体調不良の王道ですよね。
確かに、噛む負担は少ない。胃にやさしそうに見える。でも問題は、中身です。
お粥はほぼ糖質。しかも水分が多く、吸収が速い。
胃腸が弱っているときは、消化酵素の働きも落ちています。そこに一気に糖質が入ると、血糖が急上昇しやすい。
実際、胃腸炎明けの患者さんで「お粥だけ食べたら、逆に気持ち悪くなった」というケースは珍しくありません。
私自身、発熱後にお粥を食べて、その後どっと疲れた経験があります。
エネルギーを入れたはずなのに、なぜかだるい。
血糖の乱高下は、回復中の体には負担になります。
次にうどん。消化がいい代表格。
確かに脂は少ない。でも、小麦+高GI食品。
体調が悪いときは腸のバリア機能も落ちています。そこに大量の小麦グルテン。
お腹が張る、下痢が長引く。こういう相談は意外と多い。
特に、軽い胃腸炎や自律神経の乱れが背景にある場合、うどん単品はエネルギー源として偏りすぎます。
私が体調不良のときは、「うどんだけ」は避けます。
食べるなら、量を少なめにして、卵や少量のタンパク質を足す。
単品にしない。これがポイント。
「ビタミン摂らなきゃ」この発想、とても真面目。
でも、体調が悪いときのフルーツは意外と刺激的です。
果糖は肝臓で代謝されます。発熱や炎症があるとき、肝臓はすでにフル稼働。
そこに大量の果糖が入ると、だるさが増すことがあります。
さらに、冷たいフルーツ。胃腸はびっくりします。
以前、インフルエンザ明けの患者さんが、「体にいいと思って毎食フルーツを食べていたら、下痢が止まらない」と。
一旦控えてもらうと改善。
フルーツは元気なときにこそ、です。
ここが一番大事。
体調不良のときは、消化する力そのものが低下しています。
つまり、「ヘルシー」かどうかではなく、今の自分が処理できるかが基準。
私は体調が悪いとき、無理に食べません。
空腹感がなければ、温かいスープだけで済ませることもあります。
回復力は、食べる量より休ませる時間で決まることが多い。
・具の少ない味噌汁
・少量の豆腐
・やわらかい白身魚
・常温の水
驚くほど地味です。
でも翌朝、胃が軽い。頭がクリア。回復のスピードが違う。
「栄養を入れなきゃ」という焦りが、実は回復を遅らせていることがあります。
健康情報は常に“元気な人向け”に発信されがちです。
お粥も、うどんも、フルーツも、体調が安定しているときには問題ない。
でも、今弱っている体にはどうか?そこを一度立ち止まって考える。
医療現場では、「足し算より引き算」で良くなることが多いです。
体調が悪いとき、私があえて食べないものは、
その代わりに、
常識は、状況次第で非常識になります。「みんながやっているから」ではなく、「今の自分の消化力に合っているか」。
体調が悪い日は、優しそうに見える食べ物ほど、一度疑ってみる。それだけで、回復の質は変わります。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
2026-02-27T12:09:13Z