私たちの身体は、意識することなく呼吸をしたり心臓を動かしたりしています。これは自律神経というシステムが働いているおかげです。
自律神経は、脳の視床下部から指令が出ているのですが、主な種類は2種類。活動をつかさどる交感神経と、休息や回復を担う副交感神経があり、この二つがシーソーのようにバランスをとることで、私たちは元気に毎日を過ごすことができます。
ところが、仕事や家事、あふれる情報に追われる現代人は、どうしても交感神経が優位になりがち。気がつくと、ずっと脳が休まらない緊張状態で、その影響から気持ちも身体も休まらない状況に。これが、自律神経の乱れとして表れます。
自律神経は、全身の臓器や血管にまで作用しています。たとえば、交感神経が過剰に働き続けると血管が収縮し、血流が滞って手足が冷えたり、筋肉がこわばったりします。逆に副交感神経がうまく働かないと、消化吸収や内臓の修復がスムーズに進みません。つまり「疲れが取れない」「なんとなく不調が続く」といった状態の背景には、自律神経のアンバランスが隠れているのです。
私たちが本来持っている回復力や免疫力は、自律神経の働きと深く結びついています。呼吸や姿勢、生活のリズムを意識するだけで、自律神経の働きは良くなり、心身はスムーズに回復しやすくなります。
特に免疫力は、副交感神経が優位のときに高まるといわれています。身体が発熱など大きなサインを出す前に、意識的にゆったりと過ごす時間をとるようにしましょう。
交感神経が優位になったまま睡眠時間を確保しても、深い睡眠まで辿りつけず、睡眠の質の低下につながります。寝る前のぐっすりヨガで副交感神経を優位にして、睡眠の質を高めましょう。
1、ベッドの上であぐらをかき、片脚を斜め前に伸ばします。
2、伸ばした脚の太ももに手を置き、息を吸って反対側の手を上に伸ばし、吐きながら伸ばした脚のほうに体を倒します。背骨を横にしならせるイメージを持ち、上げた腕の体側を伸ばしましょう。
3、自分が心地の良いと思うところまで倒したら、伸ばした脚のほうに体を向け、両手を伸ばした脚の左右に下ろします。
4、一度息を吸い、吐きながら背骨を丸くしていきましょう。2で伸びた体側や背中に心地の良い感覚が生まれていきます。
5、余裕があったら頭の力も抜き、腰から頭までの繋がりを感じます。そのままゆったりと呼吸を続けていきましょう。
6、息を吸いながら、頭が最後になるようにゆっくりと上半身を起起こし、息を吐きます。
7、反対側もやってみましょう。
岩﨑奈緒子
11年間空間プロデュースを行う会社員として過ごし、自律神経失調症を経験。身体と心に目を向ける大切さや、日常の選択は自らと向き合うことで変わることをヨガから学ぶ。睡眠に特化した「ぐっすりヨガ」の開講をきっかけに睡眠の学びを始め、現在はカウンセラーとしても活動。『ヨガ×睡眠で、出会えた方やその回りの方々の日常を平穏に守り、より幸せにすること』を目標としている。RYT200/マタニティ・産後/チェアヨガ/スリープケアカウンセラー/更年期ナビゲーター。プライベートでは、2児+わんこのママ。
2025-10-02T11:24:13Z