多くの場合、「水分不足かな」「歩きすぎたかも」「年齢のせい?」と軽く考えて終わりがちです。
確かに、筋肉疲労やミネラル不足が原因のこともあります。
・夜中に何度も繰り返すこむら返り
・最近、歩くと脚がだるくなる
・休むと楽になる
こんな特徴がある場合、少し立ち止まって考えてほしい病気があります。それが末梢動脈疾患(PAD) です。
末梢動脈疾患は、脚の動脈が動脈硬化で細くなり、血流が悪くなる病気。血が足りなくなることで、筋肉が「酸素不足」を起こし、夜間や安静時に痛みやつりとして表れることがあります。
末梢動脈疾患というと、「歩くと脚が痛くなる病気」というイメージが強いかもしれません。実際、代表的な症状は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」。歩くと痛くなり、休むと楽になる、あの症状です。
でも、病気が進んでくると話が変わります。血流がかなり悪くなると、横になっているとき=血圧が下がる夜間に、筋肉への血流がさらに不足します。
その結果、
・夜中に脚がつる
・ズキズキした痛みで目が覚める
・脚を下に垂らすと少し楽になる
こんな特徴が出てきます。これ、単なる筋肉疲労ではあまり起こりません。
特に注意したいのは、以下のような条件が重なっている人。
末梢動脈疾患は、脚の病気であると同時に、全身の動脈硬化が進んでいるサインでもあります。
では、普通のこむら返りと、末梢動脈疾患によるサインはどう見分ければいいのでしょうか?
目安になるポイントを挙げてみます。
・夜中のこむら返りが頻繁 ・歩くと脚が重い、だるい、痛い ・休むと楽になる ・片脚だけ症状が強い ・足先が冷たい、しびれがある ・爪や皮膚の色が悪い
これらが当てはまる場合、一度は内科や循環器内科で相談する価値があります。超音波検査やABI検査などで、脚の血流を調べることができます。
一方で、
・運動後だけ
・水分やストレッチで改善する
・たまにしか起きない
こうしたケースでは、筋肉由来の可能性が高いでしょう。
大切なのは、「いつもと違うかどうか」。こむら返りが生活の一部になってしまっている人ほど、注意が必要です。
夜中のこむら返りは、よくある症状です。でも、それが繰り返されるようになったとき、背景に末梢動脈疾患が隠れていることがあります。
末梢動脈疾患は、放置すると
・歩行困難
・潰瘍や壊疽
・心筋梗塞や脳梗塞のリスク増加
につながることもある病気です。
「ただの疲れ」「年齢のせい」と決めつけず、一度、自分の脚をチェックしてみてください。
夜中のこむら返りは、体が出している静かな警告。早めに気づければ、守れる未来はたくさんあります。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
2026-01-06T12:09:04Z