「脂質異常症」とは、血液中の脂質バランスが崩れ、検査値が基準を外れてしまう状態のことです。具体的にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、中性脂肪の値が基準より高い、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が基準より低い場合に脂質異常症と診断されます。血中脂質の異常は動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを高めるため、適切な治療が不可欠です。さまざまな治療方法がありますが、まずは食生活をはじめとする生活習慣を見直すことで検査値の改善を目指します。
まず避けたいのが「トランス脂肪酸」を含む加工食品です。LDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロールを低下させるといわれるトランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングなどに含まれています。そして、それらを使用して作られたスナック菓子や揚げ物、洋菓子類なども、トランス脂肪酸の多い食品といえるでしょう。現状、日本人のトランス脂肪酸の摂取量は欧米諸国と比べて多くありませんが、それでも脂質異常症の予防や治療の観点では、なるべく減らすべきといえます。
次に控えたいのは、動物性の脂質に多く含まれる「飽和脂肪酸」です。脂身の多い肉やその加工品、乳製品などには飽和脂肪酸が多く含まれており、摂りすぎると血液中のLDLコレステロールを上昇させます。代わりとして、脂質の少ない鶏むね肉や大豆製品、魚(特にn-3系多価不飽和脂肪酸を含む青魚)などを取り入れましょう。
甘い飲料やお菓子なども控えるべきといえるでしょう。糖質を摂りすぎるとインスリンが過剰に分泌され、中性脂肪の合成を促進します。結果的に体脂肪の増加に伴い血液中の中性脂肪値も上昇するため、脂質異常症の悪化を招く可能性があります。また、フルーツジュースも自然由来の糖とはいえ、果糖が中性脂肪を増やす原因となるため注意が必要です。飲み物は水やお茶に切り替えるようにしましょう。お菓子はなるべく控えるか、食物繊維が摂れるナッツや果物がおすすめ。ただし、くれぐれも食べすぎには注意してくださいね。
脂質異常症は無症状のため、自覚しづらい生活習慣病です。しかし、日々の食生活を改善することでも改善が期待できます。今回紹介した3つの食品の過剰摂取に注意して、バランスの取れた食事と適度な運動で、健康維持を目指しましょう。
出典:
脂質やトランス脂肪酸が健康に与える影響
トランス脂肪酸に関する国際機関の取組
脂質異常症(基本)
脂質異常症(実践・応用)
脂質による健康影響
管理栄養士/ライター。
大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病などさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で、療養指導や透析予防、重症化予防などを担当した経験も。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、ウェルネス関連の記事執筆および監修に携わる。
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
2025-05-09T10:02:11Z