長時間のスマホ利用で、画面を覗き込むうつむき姿勢が続くと、首や肩の筋肉が緊張して首こりや肩こりになるのは想像できますよね。でも実は、それだけでなく、自律神経にも大きな影響を与えてしまうことをご存じですか?
自律神経は、呼吸や血流、消化、体温調節など、私たちの体を24時間休まずコントロールしていて、活動モードの交感神経と、リラックスモードの副交感神経がバランスよく働くことで、心身の健康が保たれます。
しかし、慢性化した首や肩のこわばり(緊張)がリラックスするための副交感神経の働きを低下させ、「何だか落ち着かない」「疲れが取れない」など、心身にさまざまな不調を引き起こす原因となってしまいます。
加齢や体力低下が原因と思いがちな次の不調も、自律神経の乱れが関係していることがあります。
● 胃腸の不調(便秘、下痢、胃もたれ)
消化器系も自律神経がコントロールしているので、不安やストレスで乱れやすいです。
● 手足の冷え・ほてり
血流や体温調節がうまく働かなくなるため、冷えやのぼせが感じやすくなります。
● めまい・ふらつき
血圧やバランス感覚の調整が乱れると、立ちくらみやふわふわ感を覚えることも。
● 動悸・息切れ
心拍数のコントロールがうまくいかず、ちょっとした動きでもドキドキしやすくなります。
● 肌荒れ・乾燥
血流やホルモンバランスの乱れが肌に影響を与えます。
「なんとなく不調だな」と感じても、症状がひどくなければうつむき姿勢をそのまま放置しがちです。
しかし、うつむき姿勢になりやすい生活習慣の中で、首や肩のこわばりをほぐすことはとても大切です。こまめにほぐすことで、筋肉の緊張を解消し、自律神経にも良い影響を与えます。次にご紹介するシンプルなストレッチで、少しずつ体の調子を整えていきましょう。
今回ご紹介するストレッチは、あごを上げることで胸や首の前面が伸び、目線を斜め上に向けることで首や肩の筋肉が伸びます。これにより、首肩こりやそれに伴う自律神経の乱れの改善が期待できます。さらに、深い呼吸も促進され、副交感神経が活性化するため、リラックス効果も得られます。
<やり方>
1)両手を鎖骨中央に軽くあてて固定し、あごを上げて目線を上に向ける
2)左手を右の鎖骨あたりにあて、あごと目線を左斜め上に向ける
3)反対側も同じように行う。それぞれ3〜5呼吸を目安に行いましょう
吉田加代子
オーストラリア・ブリスベン在住、東京都出身。日本とオーストラリアでの会社員生活を経て、2012年よりオーストラリアでヨガ講師としての活動を開始。ハタヨガやリストラティブヨガクラスの他、音響楽器シンギング・リン®を使ったサウンドセラピーも提供。ヨガや音の効果を活かして、クライアントの心身の健康をサポートしている。
2025-05-06T12:16:27Z