キムチに含まれる唐辛子のカプサイシンは、大量に摂取すると、胃腸の粘膜を刺激します。また、カプサイシンは腸管の運動を促進しますが、過剰に摂取すると、蠕動運動が過剰になり、消化不良や下痢を引き起こすことがあります。そのため、特に胃腸が弱い人は注意が必要です。
さらに、カプサイシンは腸管粘膜や粘液層にダメージを与える可能性があり、これが腸内細菌叢のバランスを乱す原因になることがあります。
キムチに含まれる乳酸菌は、生きた状態で腸内に到達することで、腸内環境を整えるプロバイオティクスとしての効果を発揮します。ところが、加熱すると乳酸菌は熱により不活性化または死滅してしまうため、これらの効果が失われます。また、キムチに含まれるビタミンCは、水溶性で熱に弱い特性を持つため、加熱によって分解され、その栄養価が大幅に減少します。さらに、キムチ発酵中に生成される酵素は、食品の分解を助ける働きを持っていますが、これも加熱によって活性が失われるため、腸内での有益な作用が低下します。鍋や炒め物、温かい麺類などで加熱してキムチを使いたいときは、後からもトッピングすればキムチの腸活効果を活用できます。
市販のキムチの中には、保存性を高めたり味を調えたりするために塩分が高めに含まれているものがあります。過剰な塩分の摂取は、腸内環境にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。まず、塩分の摂り過ぎは腸管内の水分バランスを崩し、腸内での善玉菌の活動を阻害する要因となり得ます。この結果、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスが乱れ、悪玉菌が増殖しやすい環境が作られる可能性があります。腸内環境が乱れることで、便秘や下痢などの消化機能のトラブルが生じるリスクが高まります。また、腸内フローラの不均衡は全身の健康にも影響を及ぼし、免疫力の低下や慢性炎症の原因にもつながると考えられています。
キムチの栄養を最大限に活かし、腸内環境を整えるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
キムチに含まれる乳酸菌は、生きたまま腸に到達することで善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えます。ところが、加熱することで乳酸菌が死滅し、その有益な効果が失われてしまいます。また、ビタミンCは熱に弱く、加熱により分解されるため、キムチの抗酸化作用も低下します。さらに、キムチ発酵中に生成される酵素は、食品の消化や吸収を助ける働きを持っていますが、これも加熱により活性が失われます。これらの理由から、キムチは加熱せず生のまま摂取するのがおすすめです。
キムチには乳酸菌だけでなく、塩分や唐辛子由来のカプサイシンも含まれています。適量(1日50g程度)を守ることで、腸内環境を整えながら、過剰摂取による消化不良や塩分過多による腸内フローラへの悪影響を防ぐことができます。
キムチに含まれる乳酸菌は、他の発酵食品に含まれる異なる種類の菌と相互作用し、腸内フローラを多様化させる効果が期待されます。例えば、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌、納豆に含まれる納豆菌、フレッシュチーズに含まれるキムチとは別の種類の乳酸菌などと組み合わせることで、複数の菌株が腸内で協力して善玉菌の勢力を拡大します。この結果、腸内環境がより効果的に整い、消化吸収の効率や免疫力の向上が期待されます。
【材料】1皿分
キムチ 30g
カッテージチーズ 30g
ライ麦パン 1枚
オリーブオイル 少々
【作り方】
ライ麦パンをトーストする。
カッテージチーズをパンに塗り、キムチをのせる。
オリーブオイルをかけて完成。
ポイント
キムチの旨味と、カッテージチーズのまろやかさが相まって爽やかな酸味と深みのある味に仕上がります。今回はトーストにトッピングしましたが、そのままでも美味しくお召し上がりいただけます。また、カッテージチーズの乳酸菌とライ麦パンの食物繊維が、キムチに含まれる乳酸菌とともに腸活をサポートします。
キムチは生のまま適量を摂取し、他の発酵食品や食物繊維と組み合わせることで、腸活効果を最大限に引き出すことができます。今回ご紹介した腸活に役立つ簡単レシピを、ぜひ試してみてください!
亘美玲
管理栄養士。病院栄養士を7年経験後、食品会社で約15年間メディカルサプリメントや機能性表示食品の商品開発責任者として従事。2児の母で、自身の妊娠と出産、離乳食作りの経験から母子栄養の研究を重ね、産前産後ママの栄養サポート、栄養相談、料理教室、レシピ提案、執筆、栄養学講座の活動を行っている。離乳食や調理の基本についてSNSでも発信をしている。
2025-04-14T06:22:10Z