私たちの体は肋骨(胸郭)と骨盤が上下でバランスを取り合うことで、安定した姿勢を保っています。横から見た時に、
● 肋骨が骨盤の真上に乗っている
● 肋骨が前や後ろに傾いておらず、真下に向いている
● 骨盤が前や後ろに倒れておらず安定して立っている
● お腹や背中に余計な力みがない
● 呼吸が自然にできる
これが正しい状態、いわゆるニュートラルな姿勢です。
しかし、現代の生活では長時間のデスクワークやスマホを見る姿勢、筋肉の偏りによる反り腰という姿勢の癖などによって、肋骨が前に開き、骨盤が前に傾くというバランスの崩れが起こりやすくなっています。本来は上下で積み木のように重なっているはずの肋骨と骨盤の位置関係がズレてしまうのです。
肋骨が前に開き、骨盤が前傾する背景には、いくつかの生活習慣や体の使い方のクセがあります。
代表的なものとして考えられるのが、
「姿勢を良くしよう」と思って胸を張りすぎてしまう方は少なくありません。胸を張ること自体が悪いわけではありませんが、必要以上に胸を前に突き出すと、肋骨が前に開き、腰が反りやすくなります。その結果、骨盤は前に傾き、お腹の力が抜けやすくなります。
本来の呼吸では、横隔膜が上下に動き、肋骨がしなやかに広がったり戻ったりします。しかし、ストレスが多い、緊張しやすい、姿勢が崩れているなどのた状態が続くと、胸の上の方だけで呼吸するクセがつき、肋骨が常に開いたままになりやすくなります。
特に大切なのが下腹部(腹横筋)、お尻(大臀筋)、太ももの裏(ハムストリングス)などの筋肉。これらの筋肉は、骨盤を安定させ、肋骨との位置関係を整える役割を持っています。ところが、座っている時間が長かったり、運動不足が続いたりするとこれらの筋肉が働きにくくなり、骨盤が前に傾く、肋骨が前に開く、というアンバランスな状態になってしまうのです。
「アンバランスであれば、体は戻ろうとする働きがあるのでは?」と思うかもしれませんが、体は常にボディマップという体の地図を自動で書き換え・更新を行っています。長時間崩れた姿勢で過ごすと、体は「この姿勢が楽なのか。では常にこの姿勢に戻るようにしよう!」とマップを書き換えます。その結果、「常にバランスの崩れた形が正しい」と脳に記憶されてしまうのです。
肋骨が前に開き、骨盤が前傾すると、お腹が前に押し出されるような姿勢になります。ここで重要なのは、お腹がぽっこりしてしまうのは脂肪が増えたからだけが原因ではない、ということです。
本来、内臓は肋骨と骨盤の間の空間に上からも下からも支えられて収まっています。しかし、肋骨が前に開いたり骨盤が前に傾く状態になると、内臓を支えるスペースのバランスが崩れ、内臓が前に落ち込みやすくなります。これがぽっこりお腹の大きな原因の一つです。
骨盤が前に傾くと下腹部の筋肉は引き伸ばされた状態になります。筋肉は伸ばされすぎると力が入りにくくなるという性質があります。そのため、お腹を引き締めようとしても力が入りにくい、下腹が出やすい、体幹が不安定になるという状態につながります。
肋骨が開いたままの状態では呼吸を司る横隔膜がうまく動けなくなり、呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると体幹の安定性が下がる、姿勢を支える筋肉が働きにくくなる、さらに肋骨が開きやすくなる、という悪循環が生まれます。
肋骨と骨盤のバランスを整えるには、正しい位置にキープする筋力をつけ、その姿勢をキープし続けることで脳のボディマップを書き換える必要があります。今回は、腹筋が苦手という方にもやりやすい体幹を強化するエクササイズをご紹介します。
<やり方>
1)体育座りのように膝を立てて座る
2)膝の上にヨガブロック(フォームローラーや硬めのクッション等でも代用可能)を置き、肘と膝で挟む
3)ブロックを落とさないようにしながら仰向けになる
4)両肘でブロックを抑えたまま、右膝を伸ばし斜め45度上に伸ばす。この時、ブロックが落ちないように保持する
5)右膝を戻し、左脚も同様に斜め上に伸ばし上げる
6)この動作を5~10往復繰り返す
通常の上半身を起こす腹筋よりも肋骨を閉じる方向に使う力が働くため、肋骨の開きを抑える効果が高まります。
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伊藤香奈
股関節ヨガインストラクター。会社員歴20年の長年の座り仕事&長時間通勤で、股関節と腰の痛みに悩まされる。解剖学とヨガ・ストレッチ・筋膜リリース・骨格調整などを学び自らの痛みを克服した経験をもとに、オリジナルメソッド「股関節ヨガ」を考案。「立つ・歩く・家事をする・仕事をする」といった日常の動きが楽になるほか、股関節が整うことで、美脚・美尻・むくみ解消・ボディメイクの効果や便秘解消といった女性に嬉しい効果もあると人気が広まっている。
2026-05-05T11:09:14Z