ほくろの形が変わった…もしかして皮膚がん?無視してはいけないサインとは|医師が解説

皮膚がんとは?

皮膚がんとは皮膚で発生したがんのことです。

最初から皮膚で発生した場合、原発皮膚がんと呼ばれ、他の臓器で発生して皮膚に転移した皮膚がんは転移皮膚がんと呼ばれます。

皮膚がんの種類は扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫などに分けることができ、皮膚がんの病変はほとんど目によく見えるため、早期診断が可能です。

過度の紫外線を浴びた場合は皮膚癌の発生のリスクを高め、主に中年以降に頻発し、皮膚が白く、白人に頻繁に発生します。

他にX線のような放射線、火傷・創傷・瘢痕・潰瘍・慢性刺激や熱などを含む外傷を受ける、あるいは化学物質を持続的に接触した場合に皮膚がんの発症リスクが高まります

基底細胞がん

基底細胞がんの場合、表面は蜜蝋のように滑らかで半透明で、潰瘍に変わり、茶色または黒色に見えることがあります。

扁平細胞がん

扁平細胞がんの場合、顔、手の甲、腕の甲、下唇、耳たぶに発生することがあり、硬くて境界がはっきりしません。

悪性黒色腫

黒色腫の場合、指やつま先、顔など、すねに発症し、境界が不規則で色が多様で直径が0.6cm以上の場合が多いです。

ほくろの形が変わった…もしかして皮膚がん?そのサインとは?

皮膚がんは、大きく分けて、黒くなるもの、赤くなるもの、その他の三種類に分類することができます。

このうち、黒いものには「悪性黒色腫(メラノーマ)」と「基底細胞癌」があります。

そのなかで、悪性黒色腫(メラノーマ)は、中年以降の人に起こりやすい悪性度の高いがんの種類であり、全身の至る所に発症し、主に4つのタイプに分類することができます。

「悪性黒子型」は顔面に発症することが多く、「表在拡大型」は黒い平らなほくろとなりやすく、「結節型」は盛り上がった黒い固まりとなり、「末端黒子型」は手のひらや足の裏などに発症します。

皮膚がんの中でも、特に悪性黒色腫(メラノーマ)を疑うポイントとしては、形状、境界線、色調、サイズ、隆起の有無を含めて、5つが挙げられます。

形状においては、ほくろは円形や楕円形であるのに対して、メラノーマは整った形をしていない特徴があります。

ほくろは、その境界がくっきりしているのに対して、メラノーマはギザギザで、ぼんやりしている傾向があります。

色調に関していえば、ほくろは均一であるのに対して、メラノーマはむらがあり、ほくろは6ミリ以下の大きさが多いのに対して、メラノーマは6ミリ以上あることが良く見受けられます。

また、一部のほくろは隆起しているように見えますが、メラノーマは進行すると隆起するという特色があります。

皮膚の病変を正確に判別するには、皮膚科専門医などを受診して、ダーモスコピー(色素性病変を診断する医療器具)を使用して、精密検査を行うことが必要です。

一般的に、悪性黒色腫(メラノーマ)など皮膚がんに対する治療としては、がんを全て切除する外科的治療が基本となります。

がんの周辺には目に見えないがん細胞がある可能性もあるため、がんの端から3ミリから2センチほど外側までを切除します。

がんが最初に転移するリンパ節であるセンチネルリンパ節を生検して、その部分のみ、あるいはその周辺のリンパ節を切除するリンパ節郭清(かくせい)と呼ばれる処置を実施する場合もあります。

まとめ

皮膚がんには、比較的おとなしい性質のものから悪性度の高いメラノーマまで存在します。

患者さん自身が、目視で確認できる皮膚のがんは、本来早期発見がしやすいタイプと考えられます。

どのような見かけのものががんの可能性があるのか、あるいはどのタイミングで皮膚科を受診すべきか等を知っておくことはとても大切です。

例えば、普段見ていたほくろの形がいびつな形状に変わった、サイズが大きくなった、境界が不明瞭になったなど、心配な症状があれば、皮膚科など専門医療機関を受診して、早めに相談するように心がけてください。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。

2025-06-09T11:05:38Z