「腸腰筋(ちょうようきん)」は、姿勢維持や体幹の安定性に欠かせない、非常に重要なインナーマッスルです。
腸腰筋は、「大腰筋(だいようきん)」「小腰筋(しょうようきん)」「腸骨筋(ちょうこつきん)」の3つの筋肉から構成されています。背骨の腰の部分の腰椎から骨盤、太ももの内側につながっており、上半身と下半身をつなぐ働きをしています。
腸腰筋の主な役割は以下の通りです。
・骨盤と背骨を安定させ、正しい姿勢を保つ
・脚を引き上げる(歩行や階段昇降など)動きを支える
・体幹の深部で姿勢のバランスをとる
腸腰筋がしっかり働いていると、骨盤が正しい位置に戻りやすくなり、美しい姿勢を保つことができます。反対に、弱ってしまうと骨盤が前後に傾きやすくなり、反り腰や猫背、腰痛などの原因に。日常生活のなかで意識して使っていきたい筋肉の一つです。
普段の生活では腸腰筋を使う機会が少ないので、腸腰筋が本来の働きを十分に果たせていないと言われています。腸腰筋が衰えてしまう主な原因は、以下のとおりです。
・座りっぱなしの生活…座る時間が長くなることで、腸腰筋が縮んだ状態で固まり、筋力も柔軟性も低下していきます。
・運動不足…腸腰筋は脚を上げる動きのときに働きます。移動が車や電車中心だったり、歩く機会が少ないと腸腰筋を使うことがなく、筋肉が弱ってしまいます。
・加齢…年齢とともに筋肉量が減少しやすく、意識して鍛えない限り筋力が衰えていきます。
腸腰筋を鍛えるためには、筋肉を伸ばして縮めるのバランスが大切です。硬くなった腸腰筋をほぐすヨガポーズと、弱くなった腸腰筋を鍛えるヨガポーズを、それぞれご紹介します。
①うつ伏せに寝ます。足を腰幅程度に開き、足の甲、太もも、脚の付け根をしっかりと床につけます。
②手のひらから肘で床を押しながら、上半身をゆっくりと起こしていきます。肩の下にひじがくるようにしてください。
脚の付け根からお腹の筋肉を伸ばすイメージで行います。腰に違和感のある方は、上半身を起こす角度を緩めてください。
③呼吸をしながら、30秒ほどキープをします。
①両ひざを立てて座ります。手の指先がお尻方向に向くようにし、両手を床におろします。手のひらで床を押しながら、腰から背中がまっすぐなるように意識をします。
②両ひざを曲げたまま、足を床から離します。骨盤が後ろに傾いてしまうと、腸腰筋をしっかり鍛えることができないので注意してください。
③可能であれば、両手を床から離し、前に伸ばします。お腹の力が抜けないように気をつけてください。きつい場合は、両手を床におろした状態で行ってください。
呼吸をしながら、30秒ほどキープをします。
上村ゆい
精神保健福祉士・社会福祉士の国家資格を持つヨガインストラクター。精神科ソーシャルワーカー・飲食店ホールスタッフ・美容部員・農業のお手伝いなど幅広い職種を経験し、2017年からフリーランスのヨガインストラクターとして様々な場所でレッスンをしている。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクター。自身の身体の硬さを活かしたヨガレッスンは、50代以降の方に人気。
2025-06-07T12:27:47Z