【医師が解説】湿布薬の貼り過ぎは危険?「多く貼るほど効果が高い」という考えの大誤解

Q. 湿布を限度枚数より多く貼るのは、なぜいけないのでしょうか?

打撲や筋肉痛などの体の痛みに使われる湿布。飲み薬ではなく貼るだけなので、「多めに貼って、早く治したい」と考える人がいるようです。薬の用法用量の決まりは、湿布薬などの貼り薬でも同じです。わかりやすく解説します。

Q. 「湿布薬のパッケージを見ると、1日の使用限度枚数が書かれていました。多く貼れば貼るほど効果があるのではないですか? 限度枚数以上に貼るのは危険なのでしょうか?」

A. 湿布も、副作用をともなう「薬」。 必ず用法用量を守って使用を

薬には、病気の治療に役立つ「主作用」以外に、必ず「副作用」があります。使用が認められている薬には、主作用が十分に現れ、副作用は最小限にとどめられる範囲で、「用法用量」が定められています。

用法用量を超えて使用すると、期待する効果が増すどころか、副作用ばかりが強く現れてしまうこともあります。飲み薬・貼り薬など、薬の形態が違っても、この原則は同じです。湿布の場合も、皮膚から有効成分が吸収されて体に作用するため、貼り過ぎによって胃腸障害や肺炎などが引き起こされるリスクもあります。

湿布薬は飲み薬と異なり、

・一度にたくさんまとめて処方されることが多い

・痛みなどの不快症状に対して、自分で簡単に貼れる

・飲み薬のような「毎食後1錠ずつ」といった時間や量の指示がなく、あいまい

・病院で処方されたもの以外でも、市販品を併用しやすい

等の理由で、過量使用されがちです。これは飲み薬と同様、「オーバードーズ」です。

湿布薬でも用法用量はきちんと守ってください。なお、貼った後に不調を感じたときは、すぐに剥がせば、効果を弱めることもできます。決められた枚数内で貼った場合でも、自分には効果が強すぎると感じたら、適宜調整できることも覚えておくとよいでしょう。

▼阿部 和穂プロフィール

薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。

2023-05-25T12:18:05Z dg43tfdfdgfd