糖尿病専門医が警鐘!「慢性疲労」を招く食べ物 疲れているときに「甘い物」「ガッツリ丼」「ラーメン」が逆効果である理由

新年度からの環境の変化による「五月病」に加え、最近は「七月病」なる言葉が聞かれるようになってきた。原因不明の疲労や不調が長引き、そこに梅雨や猛暑が重なり、疲労や不調が深刻化するのだという。疲労や不調の解消のためには「食事の見直しこそ肝心」と説くのは、糖尿病専門医の牧田善二さん(73歳)だ。新著『疲れない体をつくる最高の食事術』を上梓した牧田医師が問題の本質を語る。

【写真】疲れているときに避けたほうがいい食べ物。他、コロナ禍収束後、「疲れている」人の割合は?意外な結果に

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コロナ禍収束後も8割が「疲れている」

2023年に、一般社団法人日本リカバリー協会などが全国の10万人(20〜79歳)を対象に行った調査によれば、コロナ禍が収束したにもかかわらず、「疲れている人」の割合は約8割にのぼり、疲労に対する日本人の深刻な状況が報告されています(別掲の図参照)。

現代日本において、疲労はまさに“国民病”といっても過言ではないでしょう。ちなみに、男性よりも女性のほうが、高齢者よりも働き盛りの若い世代のほうが、疲労を自覚している割合が高いそうです。

ビジネスの現場は人手不足が深刻化し、また少子高齢化対策が喫緊の課題であるにもかかわらず、国や行政、企業の支援はひどくおぼつかないものとなっています。こうした状況にあって、多くの人が将来に対する不安を感じ、仕事や家事にも手が回りきらず、心身共に疲弊しているのは間違いないでしょう。

しかも現代人の疲労は、先人たちのそれとは異なり、多層化、複雑化が進んでいます。一昔前まで、「疲れた」という言葉が口をつくときは、脳や肉体を酷使したときが大半でした。この種の疲労は、たいてい一晩ぐっすり眠れば解消されるものです。

ところが、現代は、日々さまざまな種類の疲労が待ち受けています。IT機器を長時間使うことによる眼精疲労や肩こり、過酷な仕事のノルマや職場の人間関係からくるストレス、日常のやりとりにおける些細ないざこざなど、少しずつですが、着実に疲労は蓄積しています。

「たかが疲れ」と甘く考えてはいけない

さらに、一部の人にとっては、SNSの普及が「気の休まる暇もない」状況になっています。本来なら、休憩時間や仕事を終えた後の楽しみであったはずのSNSが、評価を気にするあまり心を疲弊させる材料となっているのです。

現代人の疲労は、さまざまな要素が複雑怪奇に絡まり、もはや「どこが疲れているのかわからないけど、ひどく疲れている」といった様相を呈しています。しかし、「たかが疲れ」などと甘く考えてはいけません。

たとえば、パソコンを使う作業が続いて、肩がこったり目がしょぼしょぼしたりしているとき、疲れているのは肩や目だけではありません。人間の体はすべてが繫がっており、一部の不調は気づかぬうちに全身に悪影響を及ぼします。

とくに「沈黙の臓器」とも呼ばれる腎臓に疲労が蓄積し、その機能が低下すれば、老廃物や毒素の排出に支障を来し、さらに慢性疲労を深刻化させます。それどころか、糖尿病、心疾患、脳卒中、がん、認知症などあらゆる病気の原因もつくりだします。

こうした負の連鎖を断ち切るためにも、みなさんに積極的に取り組んでほしいことこそ、「食事の見直し」なのです。

仕事の内容を変えたり、人間関係から抜け出したりすることは、自助努力だけでは難しい部分があります。睡眠にしても、その質を改善することは、素人には簡単なことではありません。睡眠の改善にこだわりすぎると、「ああ、今日もまたよく眠れなかった……」などと落ち込んでしまい、かえって疲労を溜め込む可能性があります。

疲れたときに「甘い物」を食べるのは逆効果

一方で、食事は自分の意思だけで、すぐに、簡単に、変えられるのです。しかも、みなさんがやるべきことは極めて単純。糖質を減らす。この一言に尽きます。

血糖値を乱高下させ、「慢性疲労」を引き起こすのは、もっぱら糖質であり、肉や魚などのタンパク質や脂質はなんら影響しません。ですから、疲れたときに肉を食べるのはいいけれど、甘い物や米飯、ラーメンなどを食べると逆効果です。

それなのに多くの人が、疲れたときには甘い物や、ガッツリとした丼飯、大盛りラーメンなどを食べたがります。なぜ、逆効果であるにもかかわらず、疲れると糖質を摂ってしまうのでしょうか。それは、現代人の多くが“糖質中毒”だからです。

ご自身は糖質をたくさん摂っているつもりなどなくても過剰摂取しており、その結果、自覚なく中毒に陥っています。現代人は、そういう環境に置かれているのです。

現代人の食生活には、こうした“隠れ糖質”が多く潜んでいるため、みなさんの多くが想像以上に糖質を摂っています。「摂らされている」と言ったほうが適切かもしれません。そして、気づかぬうちに“糖質中毒”に陥ってしまい、これが慢性疲労の大きな原因です。

アルコールもニコチンも同じですが、中毒(依存症)に陥れば、その物質こそが「最高に美味しい」と感じます。“糖質中毒”の人は、「糖質こそが最高の美味」と洗脳されているようなものです。

しかし、それは脳の“誤解”に過ぎず、本当に美味しいものがほかにいくらでもあることは、みなさんもご存じの通りです。

※牧田善二著『疲れない体をつくる最高の食事術』より抜粋して再構成

◆教えてくれたのは:医師・牧田善二さん

AGE牧田クリニック院長、医学博士、糖尿病・合併症治療・アンチエイジング専門医。北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されるAGEの研究を約5年間行う。血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New EnglandJournal of Medicine』『Science』『THE LANCET』などのトップジャーナルに論文を発表する。北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を経て、2003年から糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。

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