それでも「40代になってから食べる量を制限しているのに太るんです!」という声が多いのは、本人は制限しているつもりでも、やはりエネルギーの「IN」と「OUT」で「IN」のほうが多いからでしょう。
ありがちなのは「糖質制限をしているので、夕食で白米は食べません」と言いつつ、夕方に同僚とおやつにクッキーを食べている、とか「果物は健康にいいんですよね?」とテレビを観ながらみかんをほお張り、いくつ食べたかさえも忘れてしまっている……といった状況。本人は「食べる量を制限している」でも、実際には「つもり」でしかないという現象が起こります。
まずは、「3食の食事以外の時間に食べていないか」を客観的に見直してみましょう。かなりの割合でここに「太る原因」が隠れています。
しかし、それでも思うようにダイエットできない人は次のステップに移る必要があります。
まずは、本当に自分の体に見合った量を食べているかどうかを確認しましょう。できれば仕切りがついている皿を使って、見た目の割合が「主食:主菜:副菜=3:1:2」の割合になるように料理を盛り付けます。3:1:2の割合に盛り付ける方法は本来、お弁当箱で行う方法ですが、300円程度から売られている仕切りのついた皿でも十分代用ができます。
盛り付ける際は「山盛り」にはしないことが大切。栄養バランスも大切なので、色彩も含めて「インスタ映え」するような盛り付けを目指してみてください。
・実践方法……間食に「果物」「菓子類」を食べない、甘い飲み物は控える、通常の食事から主食の量を1~2口分減らす
・メリット……注意すべき食品が「糖質」を含む食品だけなので覚えやすい
・デメリット……完全糖質オフは体調を崩す。食塩の摂りすぎになりやすい
・実践方法……揚げ物、炒め物は控える、生クリーム、バター、肉の白身などは避ける、洋食よりも和食を選ぶ、肉と魚なら、魚を選ぶ
・メリット……日本人の食経験に合っているためストレスが少ない
・デメリット……日本人の食事は「糖質」と比べて「脂質」の割合が少ないため、減らすと同時に摂取する脂質を「良質な脂質」に置き換える必要がある。そのため、実践のためには糖質制限に比べて知識が必要となる
自動車を例に考えてみましょう。自動車はガソリンをエネルギー源として動きますが、スムーズに精巧な動きをするためには、それぞれのパーツをスムーズに動かすための潤滑油が必要になります。
これを人間の身体に置き換えると、ガソリンに当たるのは、炭水化物、たんぱく質、脂質です。それでは「潤滑油」はというと、ビタミンとミネラルがこれに当たります。実は、ダイエットしたいからといって、むやみに食べる量を減らせばよいという考えは大間違い。ビタミンやミネラルが不足すると、せっかく摂った栄養を体の中で効率よく利用できないため、使わない栄養素を脂肪として溜め込もうとするはたらきが起こり、肥満になりやすくなります。
それでは、ビタミンやミネラルはどんなものに含まれているかというと、野菜類や海藻類、きのこ類といった食べ物です。これらは味付けに気をつければ、さほど制限する必要はなく、むしろダイエット中でも積極的にとりたい食品です。
管理栄養士としておすすめしたいのは、「太らないための」ダイエットです。痩せようと思うからダイエットがつらいので、最初から太らないことを目指すのです。そのためには、常に「緩やかなダイエット」を続けていく必要があります。
理想は「体によいと聞いて、始めてみたら、いつの間にか習慣になっていた」というくらい、生活に取り入れやすい内容であること。地道に見えるものでも、着実に長続きすることが大切です。ぜひ、それぞれに取り入れやすい健康習慣を探してみてください。