「体によい脂質」とは?1年で24KG減量した専門家はどんな食べ物で取り入れているのか

ダイエットや健康にかかわる栄養素として最近、注目を集めるのが「脂質」です。今回は、体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功、その後、トータルダイエットカウンセラーとして活動し現在ヘルスフードサイエンス研究家として活動中の大西ひとみさんに、「体によい脂質」と「体に悪い脂質」についてうかがいます。

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脂質は必要量をバランスよく摂ること

結論から言うと、特定の脂質を積極的にとれば痩せやすい、健康にいい、ということではなく、大事なのは全ての脂質を必要量のバランスを考えながら摂取することです。

当然、摂取すればするほど、痩せるという脂質も存在しません。全ての脂質はそれぞれメリットとデメリットがあり、どんな脂質でも摂取しすぎるとカロリーオーバーになり、体重は増えてしまいます。

「体によい」と言われている脂質でも間違えた摂取の仕方をすると体に悪影響を及ぼすだけでなく、ダイエットにマイナスに働いてしまうのです。

では、次からは脂質のメリット、デメリットなどについて詳しく見ていきましょう。

「体によい脂質」とは?

脂質の主成分である脂肪酸は、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸で構成されています。不飽和脂肪酸は、さらに一価不飽和脂肪酸(オメガ9)と多価不飽和脂肪酸(オメガ3・6)にわけることができます。

多価不飽和脂肪酸は、脂肪の代謝を向上させる作用があることからダイエットに役立つと言われています。オメガ3とオメガ6は必須脂肪酸と言われていて、体の中で作ることができないので食べ物から摂取する必要があります。

多価不飽和脂肪酸を多く含む食材は、まぐろ、さば、さけ、さんまなどの魚類、えごま油、アマニ油などの植物性の油、ナッツ類など。健康、美容、ダイエットを気にしている人は優先的に選んでみてください。

「体によい脂質」が「体に悪い脂質」になってしまうことも

多価不飽和脂肪酸は、健康やダイエットによい点がありますが、一方で熱、光、空気などに触れると酸化しやすいというデメリットがあります。またこの多価不飽和脂肪酸の酸化は、ただ酸化するのではなく過酸化脂質(ヒドロペルオキシド)という物質に変化してしまうことが厄介なのです。

過酸化脂質は、周りの脂質も連鎖的に酸化させてしまいます。そして、過酸化脂質が体内で増加すると、本来なら脂肪代謝を向上させる作用がある多価不飽和脂肪酸が真逆のエネルギーとして働いてしまい、健康やダイエットに悪い影響を与えるのです。

えごま油や、アマニ油などの多価不飽和脂肪酸を多く含む油は一度開封したら1〜2か月程度で消費するようにしましょう。まぐろ、さば、さけ、さんまなどの魚類も同じように酸化するので、可能な限り新鮮なうちに食べるか、保存する際はできるだけ空気に触れない形にするのが望ましいです。

酸化した脂質にはビタミンB2で“対抗”

現代の食生活では、過酸化脂質は少なからず体に存在してしまいますが、“対抗”するのに役に立つのがビタミンB2です。

過酸化物質は体内に蓄積すると、老化や動脈硬化などを進行させてしまう有害物質です。食べ物からビタミンB2を意識して摂取するように努めると、この過酸化脂質を分解させることができるのです。

一方で体やダイエットによくないと言われる飽和脂肪酸は、不飽和脂肪酸に比べて体に蓄積されやすい脂質ですが、酸化しにくいというメリットがあります。

普段から飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のメリットとデメリットを頭の片隅においておくだけでも摂取する食べ物が変わってくるはずです。

脂質との上手な付き合い方とは?

以上を踏まえてどんな食べ物をどう取り入れていくのがいいのでしょうか。

私はアマニ油やえごま油は酸化してしまう前に使いきれないのでほとんど調理には使わず、酸化しにくく飽和脂肪酸のバランスのよいカメリナオイル(アブラナ科の植物カメリナサティバの種子から精製したオイル)を使用しています。また、ナッツ類はできるだけ真空状態にして冷暗室で保存し、魚類はできるだけ生のものを食べるように意識しています。

厚生労働省のガイドラインでは、脂質の摂取カロリーは総摂取カロリーの20〜30%が推奨されています。総摂取カロリーは成人女性の場合は1400〜2000kcal、男性の場合は1800~2400kcal程度が目安とされているので(農林水産省推奨)、女性は350〜500kcal、男性は500~600kcal(男女とも総摂取カロリーの25%で計算)が目安になります。

ダイエット中、「よい脂質」のナッツ類はついつい食べすぎがちですが、10粒計算でアーモンドは約60kcal、ヘーゼルナッツは約110kcal、くるみは約270kcal、カシューナッツは約90kcalあります。そしてナッツ類はオメガ6の含有量が多く、炎症作用もあります。どんな脂質でもカロリーオーバーにならないように注意しながら、その特性をしっかり理解したうえで上手に取り入れましょう。

◆教えてくれたのは:ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん

9年間、米ロサンゼルスでパーソナルトレーナーとして活動後帰国。トータルダイエットカウンセラーとして7冊の本を出版、ダイエット商品・食品の商品開発の監修などをはじめさまざまなメディアで活動。2017年に自身のギルトフリースイーツブランド「h+diet(エイチプラスダイエット)」を立ち上げ、現在は東京・武蔵小山で『h+diet laboratory』をオープン。野菜を使い、甘味料・人工甘味料不使用、グルテンフリーの「栄養学から考えるオーガニックスイーツ」を販売、他社の商品監修などに携わるなどヘルスフードサイエンス研究家としても活動。

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